グレーゾーンの小中学生の学習支援:非認知能力を育む「自己認識と感情コントロール」

グレーゾーンの子どもたちが抱える感情調整の課題

グレーゾーンの子どもたち、つまり発達障害の診断基準には満たないものの学習や社会生活に困難さを抱える子どもたちは、しばしば感情調整に難しさを感じています。教室での指示理解の難しさ、友人関係でのすれ違い、学習での失敗体験の積み重ねなどから、フラストレーションや不安、時には怒りといった感情が湧き上がることがあります。しかし、その感情が何なのか、なぜ生じているのかを自分で理解することが難しく、結果として感情の爆発や引きこもりといった形で表れることがあります。

感情調整の困難さは学習にも大きく影響します。不安や緊張が高まると認知機能が低下し、本来の力を発揮できなくなるのです。だからこそ、まずは自分の感情を認識し、適切にコントロールする力を育むことが非認知能力の基盤として重要になります。


自分の感情に気づき、言葉で表現する練習方法

感情を調整するための第一歩は、自分がどんな感情を抱いているかに気づくことです。以下の練習方法が効果的です

1.感情カードの活用

様々な表情イラストと感情を表す言葉がセットになったカードを用意し、今の気持ちに近いものを選ぶ練習をします。最初は「うれしい」「かなしい」「おこっている」といった基本的な感情から始め、徐々に「いらいら」「心配」「ほっとした」など細かなニュアンスの感情も扱えるようにしていきます。

2.体の感覚との連動

「怒りを感じるとお腹がきゅっとする」「不安なときは肩が緊張する」など、感情と体の感覚を結びつける意識づけをします。これにより、感情が高ぶる前の小さな変化に気づけるようになります。

3.「わたしメッセージ」の練習

「わたしは〇〇と感じている」「わたしは〇〇がほしい」という形で自分の感情や欲求を伝える練習をします。非難や責めるのではなく、自分の内側に起きていることを伝えるスキルを身につけます。


マインドフルネス呼吸法で落ち着く技術

感情が高ぶったときに自分を落ち着かせる方法として、マインドフルネス呼吸法は非常に効果的です。年齢に応じたアプローチとして以下の実践が考えられます:

1.風船呼吸法

お腹を風船に見立て、息を吸うときに膨らませ、吐くときにしぼませるイメージで呼吸します。手をお腹に当てて動きを感じると、より具体的になります。

2.5本指呼吸法

片手を広げ、もう一方の手の人差し指で、親指の付け根から指先に向かってゆっくりなぞりながら息を吸い、指先から付け根に戻りながら息を吐きます。これを5本の指全てで行います。

3.クールダウンコーナーの設置

教室や家庭の一角に、落ち着くためのスペースを設け、そこで呼吸法を実践できるようにします。クッションや感触の良いアイテム、タイマーなどを置くとより効果的です。

これらの呼吸法は1分程度の短い時間から始め、徐々に3分、5分と延ばしていくことで、集中力や自己調整能力も高まっていきます。


感情日記の活用法

感情日記は、日々の感情の変化を記録し、パターンを理解するのに役立ちます。以下のようなアプローチがあります

1.感情温度計

その日の感情を0〜100の数値や色で表現します。可視化することで、自分の感情の波を客観的に見ることができます。

2.きっかけ-感情-行動の記録

「何がきっかけで」「どんな感情が生じ」「どう行動したか」の3点を簡潔に記録します。時間が経ってから振り返ることで、感情と行動のパターンに気づけるようになります。

3.成功体験の記録

感情をうまくコントロールできた場面や、困難を乗り越えられた経験を記録します。これにより、自己効力感が高まります。

グレーゾーンの子どもたちの中には、文字で表現するのが難しい場合もあるため、イラストやシールで表現する、音声録音を活用するなど、個々に合わせた方法を工夫することが大切です。


保護者・指導者ができるサポートのポイント

子どもたちの感情調整能力を育むために、周囲の大人ができるサポートには以下のようなものがあります:

1.感情の承認

子どもが示す感情を否定せず、「そう感じているんだね」と受け止めます。感情そのものは良い・悪いではなく、自然なものだと伝えることが大切です。

2.感情のモデリング

大人自身が自分の感情を適切に表現し、調整する姿を見せることが、子どもにとって最良の学びとなります。

3.先回りしすぎない

感情の波を経験し、それを乗り越える経験も大切です。すぐに解決策を与えるのではなく、「どうしたいと思う?」と問いかけ、自分で考える機会を作ります。

4.成長の承認 

小さな変化や成長に気づき、具体的に伝えることで、自己認識の力を高めていきます。


感情調整の力は一朝一夕につくものではありません。焦らず、長期的な視点で子どもの成長を見守り、適切なサポートを続けることが大切です。明日は「目標設定と継続力の育成」について考えていきましょう。


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