一人で抱え込まないで!専門家のサポートと長期的な関係性づくり
いつカウンセリングを受けるべき?専門家への相談タイミング
「カウンセリング」と聞くと、「そこまで深刻な問題ではない」「まだ大丈夫」と思う方が多いかもしれません。でも、カウンセリングは問題が深刻化してから受けるものではなく、より良い関係を築くための「メンテナンス」のような役割も果たします。
カウンセリングを検討すべきタイミング:
◆子どもの変化が顕著な場合:
・不登校や登校渋りが続いている
・自傷行為や極端な食事制限などの行動が見られる
・うつ的な症状(無気力、絶望感、希死念慮)が続いている
・親子関係が完全に破綻し、会話が成り立たない
◆親自身が困っている場合:
・子どもにどう接していいかわからない
・感情のコントロールができず、子どもに八つ当たりしてしまう
・自分の親との関係が子育てに影響していると感じる
・パートナーとの子育て方針が合わず、家庭内が不安定
◆予防的なカウンセリング:
・転校、離婚、再婚など、家庭環境の大きな変化がある時
・思春期に入り、子どもとの関係性を見直したい時
・兄弟姉妹への接し方で悩んでいる時
長年塾を経営してきて感じるのは、「もう少し早く相談していれば、こんなに大変にならなかったのに」というケースが多いことです。早めの相談は、子どもにとっても親にとっても負担を軽減します。
利用できる相談機関とその特徴
一口に「相談機関」といっても、様々な選択肢があります。それぞれの特徴を理解して、自分の状況に最も適した機関を選ぶことが大切です。
1. 学校のカウンセラー・相談員
特徴:子どもの学校生活を把握している、費用がかからない
適している場面:学校での問題、友人関係の悩み、学習の困り
注意点:相談時間が限られている、他の保護者との接触がある
2. 公的な相談機関
児童相談所:深刻な虐待や育児放棄の問題
教育センター・教育相談室:不登校、学習の困り、発達の心配
保健所・保健センター:乳幼児から思春期までの幅広い相談
3. 民間のカウンセリングルーム
特徴:じっくりと時間をかけて相談できる、専門性が高い
適している場面:親子関係の改善、家族全体のカウンセリング
注意点:費用がかかる(1回5,000円~15,000円程度)
4. オンラインカウンセリング
特徴:自宅から気軽に相談できる、全国の専門家にアクセス可能
適している場面:地方在住、時間の制約がある、まずは相談してみたい
注意点:緊急時の対応が難しい場合がある
5. 親の会・自助グループ
特徴:同じ悩みを持つ親同士の支え合い、体験談が聞ける
適している場面:孤立感の解消、具体的な対処法の情報交換
注意点:グループの雰囲気が合わない場合もある
相談機関を選ぶ時のポイント:
・子どもの年齢と問題の内容に合っているか
・家族全体を見てくれるか
・継続的なサポートが可能か
・アクセスしやすい場所・時間にあるか
家族療法という選択肢~家族全体でのアプローチ
親子問題は、多くの場合「個人の問題」ではなく「関係性の問題」です。そのため、一人だけが変わろうとしても限界があります。家族全体で問題に取り組む「家族療法」という方法もあります。
家族療法の特徴:
・家族みんなが参加する(必要に応じて部分的参加も可能)
・問題を「個人の問題」ではなく「家族システムの問題」として捉える
・家族内のコミュニケーションパターンを改善する
・各メンバーの役割や立場を見直す
◆家族療法が適している場合:
・家族全員が改善に協力的
・複数の問題が絡み合っている
・個人カウンセリングだけでは改善が困難
・夫婦の関係性も子どもに影響している
◆実際の家族療法の流れ:
・家族全員(または主要メンバー)でセッションに参加
・それぞれの立場から問題を話し合う
・家族内のコミュニケーションパターンを観察・分析
・新しいコミュニケーション方法を練習
・家庭での実践と振り返り
親自身のメンタルヘルスケアの重要性
子どものために一生懸命になりすぎて、親自身のメンタルヘルスが悪化してしまうケースは少なくありません。でも、親が精神的に健康でなければ、子どもを支えることはできません。
親のメンタルヘルスが悪化するサイン:
・常にイライラしている
・何をやっても楽しく感じない
・食欲や睡眠に問題がある
・自分を責める気持ちが強すぎる
・孤立感や絶望感を感じる
・アルコールや買い物などに依存的になる
◆親自身のケア方法:
1. 自分の時間を確保する
1日30分でも、自分だけの時間を作る。読書、散歩、好きな音楽を聞くなど、何でも構いません。
2. サポートネットワークを築く
配偶者、親、友人、ママ友など、話を聞いてくれる人を見つける。一人で抱え込まないことが大切です。
3. 完璧主義をやめる
「良い親でなければ」という思い込みを手放し、「今日も1日お疲れさま」と自分を労う習慣をつける。
4. 必要に応じて専門家に相談
親自身がカウンセリングを受けることに罪悪感を持つ必要はありません。親が健康になることが、家族全体の幸せにつながります。
時間をかけた関係修復~「完璧な親」を目指さない子育て
親子関係の修復には時間がかかります。特に、長年にわたって築かれた関係パターンを変えるには、相当な時間と労力が必要です。
修復プロセスの段階:
第1段階:混乱期(1~3ヶ月)
・今までのやり方を変えることで、一時的に関係が不安定になる
・子どもも親の変化に戸惑い、試すような行動を取ることがある
・親自身も「これで良いのか」と迷いが生じる
第2段階:適応期(3~6ヶ月)
・新しいコミュニケーション方法に少しずつ慣れてくる
・小さな改善が見え始める
・子どもが少しずつ心を開いてくれるようになる
第3段階:安定期(6ヶ月~)
・新しい関係性が定着してくる
・お互いを尊重したコミュニケーションができるようになる
・困った時に話し合えるような関係が築かれる
重要なポイント:
・一進一退があることを理解する
・完璧を求めず、小さな改善を喜ぶ
・子どものペースを尊重する
・長期的な視点を持つ
次世代に引き継がない~負の連鎖を断ち切るために
多くの親は、自分が育てられた方法で子育てをします。それが良い方法であれば問題ありませんが、問題のある関わり方だった場合、無意識に同じことを繰り返してしまいます。
負の連鎖を断ち切るために:
1. 自分の子ども時代を振り返る
・親からどのような関わりを受けたか
・その時どのような気持ちだったか
・今の子育てにどのような影響を与えているか
2. 意識的に違う選択をする
・「自分の親だったらこう言うだろう」と思った時、立ち止まる
・「子どもの立場だったらどう感じるだろう」と考える
・新しい関わり方を学び、実践する
3. 子どもから学ぶ姿勢を持つ
・子どもは親とは違う一人の人間だと理解する
・子どもから教わることもあると謙虚になる
・間違いを認め、謝る勇気を持つ
実際の変化の事例:
「私の母は感情の起伏が激しく、私もそれが普通だと思っていました。でも、カウンセリングを受けて、子どもに与える影響を知り、意識的に感情をコントロールするようになりました。今では、娘が『お母さんはいつも穏やかで安心する』と言ってくれます」(40代女性)
まとめ:愛情をより良い形で表現するために
5日間のシリーズを通じて、「毒親」という言葉の真の意味と、親子関係をより良くするための具体的な方法をお伝えしました。
最も大切なメッセージは、「毒親かどうか」のレッテル貼りをすることではなく、「愛情をより適切な形で表現すること」です。
どの親も、子どもを愛しています。でも、その愛情の表現方法が間違っていたり、時代に合わなくなったりすることがあります。それに気づいた時が、新しいスタートです。
今日からできることリスト:
・子どもの話を1日10分、ただ聞く時間を作る
・「ダメ」「どうして」「なぜ」の代わりに、別の言葉を使ってみる
・子どものできていることを一つ見つけて伝える
・自分の感情が不安定な時は、子どもに当たらない工夫をする
・必要に応じて、専門家に相談することを検討する
親子関係に悩むということは、それだけ子どものことを大切に思っている証拠です。完璧な親になる必要はありません。子どもと一緒に成長していく「学び続ける親」であれば十分です。
困った時は、一人で抱え込まず、誰かに相談してください。あなたとお子さんの幸せを心から願っています。
来週からは、新しいテーマで皆さんのお役に立つ情報をお届けします。お楽しみに!
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