25年見てきた『伸びる子の友達関係』『心配な友達関係』の決定的な違い

お互いを高め合う友達関係の5つの特徴

25年間、教員として多くの子どもたちを見てきました。その中で気づいたことがあります。成長する子どもたちには、共通する友達関係のパターンがあるのです。

特徴1:互いの個性を認め合っている

「Aくんは算数が得意で、僕は国語が得意。お互いに教え合ってるんだ」

こんな風に話す子どもたちは、確実に成長していきます。

良い友達関係では、違いを「劣っている」とは考えません。むしろ、違いがあるからこそ面白い、学べることがある、と考えます。

サッカーが好きな子と読書が好きな子が仲良しで、それぞれの世界を尊重し合っている。そんな関係が理想的です。

特徴2:一緒にいて自然体でいられる

「○○ちゃんと一緒だと、変に気を使わなくていいから楽なんだ」

こんな言葉が出てくる友達関係は素晴らしいものです。背伸びをしない、格好つけない、素の自分でいられる。そんな関係こそが、子どもの心を安定させます。

逆に、「友達の前では明るく振る舞っているけど、家では疲れ切っている」という状態は要注意です。友達関係が心の負担になっているかもしれません。

特徴3:切磋琢磨できる関係性

「○○くんが頑張ってるから、僕も頑張ろうと思った」

良い友達は、お互いを高め合います。テストで良い点を取った友達を素直に祝福できる。自分も頑張ろうと思える。そんな関係です。

教室で見ていると、こういう友達同士は一緒に成長していきます。勉強だけでなく、スポーツや芸術、人間性においても、互いに良い影響を与え合っているのです。

特徴4:困った時に助け合える信頼関係

「宿題忘れちゃって困ってたら、友達がノート見せてくれた」

「悩んでたこと、ちゃんと聞いてくれて嬉しかった」

本当の友達は、困った時に手を差し伸べてくれます。そして、助けてもらった子は、今度は自分が誰かを助けようとします。

この「助け合いの循環」がある友達関係は、子どもに「人を信頼する力」と「困った時は助けを求めていい」という安心感を育みます。

特徴5:適度な距離感を保てている

意外に思われるかもしれませんが、良い友達関係には「適度な距離感」があります。

「今日は一人で本読みたいから、遊べない」

「ごめん、今日は家族と過ごすから」

こんな風に、時には「ノー」が言える関係です。四六時中一緒にいなくても大丈夫、それぞれの時間を尊重し合える。そんな関係が、長続きする友情の秘訣です。


要注意!避けた方がいい友達関係のパターン

一方で、心配になる友達関係のパターンもあります。

パターン1:一方的な関係性(依存・支配)

「○○ちゃんの言うことは絶対」

「○○くんがいないと何もできない」

このような発言が聞かれたら要注意です。友達関係が「対等」ではなく、「支配する側」と「支配される側」になっている可能性があります。

支配する側の子は、「私が一番」「言うことを聞いて」という態度を取ります。支配される側の子は、顔色をうかがい、自分の意見を言えなくなります。

このような関係は、両方の子どもにとって健全ではありません。

パターン2:価値観の押し付けがある関係

「みんなこのゲームやってるから、やらないとダメ」

「これが好きじゃないなんておかしい」

友達から価値観を押し付けられる関係は危険です。子どもは「みんなと同じ」でいたいという気持ちが強いため、本当は嫌なことでも合わせてしまいます。

ファッション、趣味、話し方まで、特定の友達やグループに合わせようとしている様子が見られたら、「自分らしさ」を失いかけているサインかもしれません。

パターン3:秘密や嘘が多い関係

「お母さんには内緒ね」

「先生にはバレないように」

友達との間に、親や先生に言えない秘密が多くなってきたら要注意です。

もちろん、年齢が上がれば友達との秘密は増えます。でも、その秘密が「後ろめたいこと」や「誰かを傷つけること」である場合は問題です。

特に、友達から「これは秘密にしてね」と口止めされることが多い場合、その友達関係には何か健全でない要素があるかもしれません。

パターン4:親や先生に隠したがる付き合い

「○○ちゃんと遊んだって言わないで」

「先生には△△くんと仲良いって言わないで」

友達関係を隠したがるのは、その関係に後ろめたさがあるからです。

なぜ隠すのか。それは、親や先生が反対すると分かっているから、あるいは、その友達との付き合いが良くないと自分でも気づいているからです。


「友達が少ない」より心配すべきこと

保護者面談でよく聞かれるのが、「うちの子、友達が少なくて...」という心配です。

でも、25年間の経験から言えることがあります。友達の「数」は問題ではありません。友達の「質」が大切なのです。

たった一人でも、心から信頼できる友達がいる子は、心が安定しています。逆に、たくさんの友達に囲まれていても、表面的な付き合いばかりで本音を言える相手がいない子は、心に孤独を抱えています。

また、友達がいない時期があってもいいのです。人には「一人の時間が必要な時期」があります。自分と向き合い、自分の好きなことを見つける時間。それも大切な成長の過程です。

心配すべきは、「友達がいないこと」ではなく、「友達が欲しいのに作れない」「友達関係で傷ついている」という状況です。


成績が下がる友達関係、上がる友達関係の違い

教員として見ていると、友達関係と学力には相関関係があります。

成績が上がる友達関係の特徴

・勉強を教え合う関係

・テストの点数を競い合いながらも祝福し合える関係

・「一緒に頑張ろう」と励まし合える関係

・塾や習い事など、学びの場で出会った友達との関係

こういう友達がいる子は、勉強へのモチベーションが高くなります。

成績が下がる友達関係の特徴

・勉強しないことを正当化し合う関係

・「勉強する奴はダサい」という価値観の友達関係

・夜遅くまで続くLINEやゲームに付き合わされる関係

・宿題をやらないことを自慢し合う関係

もちろん、友達のせいだけではありません。でも、環境が人を作ることも事実です。

もしお子さんの成績が急に下がり、同時に友達関係も変化している場合は、その二つに関連があるかもしれません。


年齢別・友達関係で大切にしたいこと

最後に、年齢別に大切にしたいポイントをまとめます。

小学校低学年(1-3年生)

この時期は、「友達と遊ぶ楽しさ」を知る時期です。けんかしたり仲直りしたりを繰り返しながら、人との関わり方を学びます。親は見守りながら、必要な時にサポートする姿勢が大切です。

小学校高学年(4-6年生)

「親友」の概念が生まれる時期です。友達関係が複雑になり、グループができ始めます。子どもの話をしっかり聞き、必要に応じてアドバイスをしましょう。ただし、過干渉にならないように注意が必要です。

中学生

友達関係が最も重要になる時期です。親よりも友達の意見を重視するようになります。親としては寂しいかもしれませんが、これも成長の証。ただし、見守りつつ、困った時には相談できる関係を維持しておくことが大切です。

明日は、友達関係のトラブルがいじめに発展するパターンと、早期発見のポイントについてお話しします。少し重いテーマですが、子どもを守るために知っておくべき大切な内容です。

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