なぜ中学生は夏休みに勉強しなくなるのか?思春期特有の3つの理由
「夏休みに入ったとたん、全然勉強しなくなって...」
昨日のブログの反響で、多くの保護者の方からこんなメッセージをいただきました。お気持ち、本当によくわかります。
学期中はそれなりに宿題もこなしていたのに、夏休みになった途端に机に向かわなくなる。これは決してお宅のお子さんだけの問題ではありません。
今日は、中学生が夏休みに勉強しなくなる3つの理由と、その背景にある思春期特有の心理について、塾での実体験を交えながらお話しします。
理由①:「親に言われたくない」反抗期と学習意欲の関係
「勉強しなさい」
この言葉、普段なら素直に(渋々でも)聞いていた小学生時代とは違い、中学生になると反発を招くことが多くなります。
「今やろうと思ってたのに!」
「言われるとやる気がなくなる!」
こんな言葉、聞いたことありませんか?
これは決して屁理屈ではありません。思春期の子どもたちは、「自分で決めたい」「自分の意思で行動したい」という欲求が急激に強くなります。親に言われて勉強することは、まるで「自分の意思を否定された」ように感じてしまうのです。
塾で中学2年生の男の子に聞いたことがあります。
「家で勉強する時と塾で勉強する時、どっちが集中できる?」
彼の答えは興味深いものでした。
「塾の方が集中できる。家だと、お母さんに『勉強しなさい』って言われる前に勉強しないといけないから、すごく疲れる」
つまり、「親に言われる前に勉強しなければ」というプレッシャーが、かえって勉強への意欲を削いでしまっているのです。
理由②:「友達が気になる」SNSと夏休みの誘惑
現代の中学生にとって、SNSは友達との大切なコミュニケーションツールです。LINEのグループトークでは、常に誰かしらがメッセージを送っています。
「〇〇ちゃん、今何してる?」
「今度の日曜日、映画見に行かない?」
「部活、めっちゃ疲れた〜」
夏休み中は特に、このやり取りが活発になります。そして、一度スマホを手に取ると、ついつい他のアプリも見てしまいます。Instagram、TikTok、YouTube...気がつくと2時間、3時間と時間が過ぎています。
ある中学3年生の女の子がこんなことを言っていました。
「勉強しようと思って机に向かうんだけど、スマホが鳴ると『みんな何話してるのかな』って気になっちゃって。で、ちょっとだけ見るつもりが、気がついたら夜になってる」
友達とのつながりを大切にしたい気持ちは素晴らしいことです。しかし、それが勉強時間を奪ってしまうのは考えものです。
理由③:「まだ時間がある」という錯覚~中3生でも陥る時間感覚のズレ~
「夏休みは40日もあるから、まだ大丈夫」
これは、中学1年生だけでなく、受験生である中学3年生でも陥りがちな錯覚です。
人間の心理として、「時間がたくさんあると思うと、今すぐ行動する必要性を感じなくなる」という特性があります。これを心理学では「計画錯誤」と呼びます。
実際に夏休みのスケジュールを詳しく見てみましょう。
部活の練習:週3〜4日
家族旅行:3〜4日
友達との約束:週1〜2日
お盆休み:3〜4日
その他の予定:週1〜2日
これらを引くと、実際に自由に使える時間は思っているより少ないことがわかります。
さらに、中学生の集中力を考慮すると、1日に効率的に勉強できる時間は2〜3時間程度。「40日間ある」と思っていても、実際に勉強に使える時間は意外と限られているのです。
定期テストが終わった解放感が生む「勉強離れ」
7月の1学期期末テストが終わった時の解放感...これも夏休みの勉強離れに大きく影響しています。
「やっと終わった!しばらく勉強したくない!」
この気持ち、よくわかります。しかし、この「しばらく」が1週間のつもりが、気がつくと1ヶ月になってしまうことがあります。
勉強には「慣性の法則」があります。勉強している時は勉強を続けやすく、勉強していない時は勉強を始めるのが困難になります。一度勉強から離れてしまうと、再び机に向かうまでに大きなエネルギーが必要になるのです。
スマホ・ゲーム・YouTube...中学生を夢中にさせるデジタルの魅力
現代のデジタルコンテンツは、人を夢中にさせるように設計されています。特にゲームやSNSは、「もう少しだけ」「次も見てみよう」と思わせる仕組みが巧妙に組み込まれています。
一方、勉強は即座に快感を得られるものではありません。理解できるまでに時間がかかったり、覚えるまでに反復が必要だったり...。
デジタルコンテンツの「即座の快感」に慣れてしまうと、勉強の「遅延された満足感」を待つことが困難になってしまいます。
親が知らない「友達との夏休み計画」の実態
中学生になると、友達同士で夏休みの計画を立てることが増えます。
「今度の土曜日、みんなでプールに行こう」
「来週の水曜日、映画見に行かない?」
「部活の後、カラオケ行こう」
これらの計画は、多くの場合親には詳しく報告されません。「友達と遊びに行ってくる」という一言で済まされることが多いのです。
問題は、これらの約束が勉強時間を削ってしまうことです。しかし、思春期の中学生にとって友達との関係はとても大切。勉強も大切だけれど、友達との約束も守りたい...このジレンマが、計画的な夏休みの過ごし方を困難にしています。
明日への布石:理解から始まる解決策
今日お話しした3つの理由を読んで、「うちの子もそうだ」と思われた方も多いのではないでしょうか。
大切なのは、これらの理由を「言い訳」として片付けるのではなく、「中学生なりの理由がある」と理解することです。
理解があれば、対策も見えてきます。明日は、この理解をもとに、中学生が自分から机に向かうような学習環境の作り方をお話しします。
「勉強しなさい」と言わなくても、お子さんが自然と学習に向かうような環境作り。きっとヒントが見つかるはずです。
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