構成の魔法:読み手を引き込む感想文の『型』を身につけよう【実践編】
プロが使う「起承転結」を感想文にアレンジ
「起承転結」という言葉は聞いたことがあると思いますが、実際に読書感想文に活かしている子は意外に少ないものです。
でも、この「型」を覚えてしまえば、読書感想文はぐっと書きやすくなります。塾で教えている「感想文版・起承転結」をご紹介しましょう。
【起】書き出し:読み手の心を掴む
・この本を選んだ理由
・印象的だった場面の紹介
・疑問や驚きから始める
【承】内容の紹介:あらすじ+自分の感想
・簡潔なあらすじ(全体の2割程度)
・心が動いた場面の詳細
・なぜそう感じたかの理由
【転】深い考察:自分だけの視点
・主人公や作者への疑問
・現代社会との関連
・自分の体験との比較
【結】まとめ:未来への繋がり
・この本から学んだこと
・自分の変化や成長
・読後の行動や目標
この構成に当てはめるだけで、バランスの良い感想文が書けるようになります。
印象的な書き出し5パターン【小中学生共通】
読書感想文の成功は、最初の一文で決まると言っても過言ではありません。読み手(先生)が「おっ、これは面白そうだ」と思ってくれる書き出しをマスターしましょう。
パターン1:疑問から始める
❌「僕は『○○』という本を読みました」
⭕「なぜ人は嘘をつくのだろうか。『○○』を読んで、僕はずっとこのことを考えている」
パターン2:印象的なセリフから始める
❌「この本には色々な登場人物が出てきます」
⭕「『きっと何者にもなれないお前たちに告げる』この衝撃的な一文から、僕の読書体験は始まった」
パターン3:意外な感想から始める
❌「この本はとても感動的でした」
⭕「正直に言うと、僕は主人公に腹が立った。こんなに嫌いになった主人公は初めてだった」
パターン4:読書体験の変化から始める
❌「読書感想文を書くためにこの本を選びました」
⭕「本を読んで泣いたのは、生まれて初めてだった」
パターン5:現代の問題から始める
❌「昔の話ですが、今でも通じることがありました」
⭕「スマホで炎上している人を見ながら、僕は江戸時代の物語を思い出していた」
実際に指導している中学3年生のCさんは、パターン3を使って『こころ』の感想文をこう始めました。
「僕は『先生』が大嫌いになった。友人を裏切り、その罪悪感に一生苦しみ続ける『先生』に、最初は同情していた。でも読み進めるうちに、彼の自己中心的な行動に腹が立ってきたのだ。」
この書き出しを読んだ国語の先生は、「最後まで一気に読んでしまいました」とコメントしてくださったそうです。
「体験談」を効果的に織り込むテクニック
読書感想文を単なる本の紹介で終わらせないためには、自分の体験談を効果的に織り込むことが重要です。
体験談を織り込む3つのタイミング
タイミング1:共感を示すとき
「主人公が友達に嘘をついてしまう場面で、僕は小学校の時の出来事を思い出した。仲の良い友達のテストの点数を聞かれて、つい自分の点数を高く言ってしまったことがある。そのときの後悔と罪悪感は、今でも心に残っている。」
タイミング2:対比を示すとき
「主人公は最後まで真実を言えなかった。でも僕なら、きっと途中で正直に話していたと思う。なぜなら、去年友達との約束を破ってしまったとき、嘘をつき続けることの辛さを身をもって体験したからだ。」
タイミング3:学びを示すとき
「この本を読んで、僕は部活の先輩に謝ろうと決めた。些細なことでケンカをして、意地を張って謝れずにいたが、主人公の後悔する姿を見て、素直になることの大切さを感じたのだ。」
注意点:体験談を長くしすぎない
体験談は感想を深めるための「スパイス」です。メインディッシュにならないよう、簡潔にまとめましょう。
締めくくりで差がつく「未来への繋がり」の書き方
多くの感想文は「良い本でした。読んで良かったです」で終わってしまいます。でも、本当に印象に残る感想文は、「未来への繋がり」で締めくくられています。
効果的な締めくくりのパターン
パターン1:行動宣言型
「この本を読んで、僕は変わろうと思った。明日から、家族にもっと感謝の気持ちを伝えていきたい。」
パターン2:成長実感型
「一年前の僕なら、きっとこの本の深さは理解できなかっただろう。読書を通じて、僕は確実に成長している。」
パターン3:疑問継続型
「この本は僕に大きな疑問を残した。『本当の友情とは何か』という問いに、僕はこれからも向き合い続けていくだろう。」
パターン4:推薦型
「もし、友達との関係に悩んでいる人がいたら、ぜひこの本を読んでほしい。きっと、新しい視点が得られるはずだ。」
文字数に困った時の「膨らませ技術」
「内容は決まったけど、文字数が足りない...」そんな時に使える「膨らませ技術」をお教えします。
技術1:5W1Hで詳しく
「感動した」→「なぜ感動したのか」「どんな風に感動したのか」「いつから感動し始めたのか」
技術2:比較で深く
「主人公は勇敢だった」→「他の登場人物と比べて」「自分と比べて」「現実の人と比べて」
技術3:想像で広く
「もし自分が主人公だったら」「もし現代が舞台だったら」「もし結末が違っていたら」
技術4:引用で具体的に
心に残った場面やセリフを具体的に引用し、なぜそこが印象的だったかを詳しく説明する
見直しのポイント:客観的にチェックする方法
最後に、完成した感想文を客観的にチェックする方法をお教えします。
【チェックリスト】
・内容面
□ あらすじだけで終わっていないか
□ 自分だけの視点が入っているか
□ 体験談が効果的に使われているか
□ 「面白かった」以外の感想があるか
・構成面
□ 起承転結の流れになっているか
□ 書き出しは印象的か
□ 締めくくりは未来に繋がっているか
□ 段落分けは適切か
・表現面
□ 同じ表現の繰り返しはないか
□ 具体的な描写があるか
□ 読み手を意識した文章になっているか
□ 誤字脱字はないか
・最終チェック:音読してみる
書き上げた感想文は、必ず声に出して読んでみましょう。音読すると、文章のリズムや不自然な表現に気づくことができます。
明日は最終日。今日学んだ構成術に加えて、デジタル時代ならではの読書感想文の書き方と、親ができるサポート方法をお伝えします。お楽しみに!
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