朝起きられない子どもを理解する - 起立性調節障害のサインを見逃さないために
起立性調節障害ってどんな病気?
「また今朝も起きられなくて...」「もう何度言っても朝起きてこなくて困っています」
こんなご相談を受けることが増えています。でも、もしかしたらお子さんは「起きたくても起きられない」状態なのかもしれません。
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、自律神経の機能が不安定になることで起こる病気です。簡単に言うと、血圧や心拍数を調整する体の仕組みがうまく働かなくなってしまう状態です。
立ち上がった時に血液が下半身に溜まってしまい、脳に十分な血液が回らなくなることで、めまいや立ちくらみ、失神などの症状が現れます。特に朝は血圧が上がりにくく、起床が困難になるのが特徴です。
「怠けている」のではなく体の症状だった
「うちの子は意志が弱いから」「甘やかしすぎたから」そんな風に自分を責めていませんか?
起立性調節障害は、決して怠けや甘えではありません。自律神経という、私たちが意識してコントロールできない体の機能に問題が生じている、れっきとした病気なのです。
お子さん自身も「起きなければいけない」「学校に行かなければいけない」と思っているのに、体がついてこない状態で苦しんでいます。本人が一番つらい思いをしていることを、まずは理解してあげてください。
周りから「怠けている」と思われることで、お子さんの自己肯定感は大きく傷ついています。「私はダメな人間だ」「みんなに迷惑をかけている」という気持ちを抱えていることも少なくありません。
中高生に多い理由と成長期の関係
起立性調節障害は、小学校高学年から高校生、特に中学生に多く見られます。なぜこの時期に多いのでしょうか?
思春期は体が急激に成長する時期です。身長や体重が短期間で大きく変化する一方で、血管や心臓などの循環器系の成長が追いつかないことがあります。この成長のアンバランスが、血圧調節機能の不安定さを招くのです。
また、思春期は自律神経系も大きく変化する時期です。子どもから大人への移行期にある自律神経が不安定になりやすく、起立性調節障害を発症しやすくなります。
さらに、この時期は学校生活でのストレス、人間関係の悩み、将来への不安なども重なり、それらが自律神経の不調を悪化させることもあります。
見落としがちな初期症状のチェックリスト
起立性調節障害の症状は多岐にわたり、一見すると「よくある体調不良」に見えることも多いため、見落とされがちです。以下の症状に複数当てはまる場合は、起立性調節障害の可能性を考えてみてください。
朝の症状
・朝起きるのが非常に困難
・起床時に頭痛がある
・朝食を食べられない、食欲がない
・午前中は調子が悪いが、午後から回復する
立位時の症状
・立ち上がった時にめまいや立ちくらみがする
・長時間立っていると気分が悪くなる
・朝礼や集会で倒れそうになったことがある
・入浴時にのぼせやすい
全身の症状
・慢性的な疲労感、だるさ
・頭痛(特に午前中)
・腹痛、吐き気
・動悸、息切れ
・集中力の低下
・イライラしやすい
睡眠の症状
・夜なかなか眠れない
・朝起きても疲れが取れない
・昼間に強い眠気がある
子どもが訴える体調不良の背景を知る
お子さんが「頭が痛い」「お腹が痛い」「気持ち悪い」と訴える時、つい「またか...」と思ってしまいませんか?でも、これらの症状は起立性調節障害の典型的な症状でもあるのです。
特に注意したいのは、症状に「時間的な特徴」があることです。午前中は症状が強く、午後から夕方にかけて改善する傾向があります。夜になると元気になるため、「仮病だったのでは?」と疑われがちですが、これこそが起立性調節障害の特徴的なパターンなのです。
お子さんが体調不良を訴えた時は、「いつから」「どんな時に」「どのような症状が」現れるのかを詳しく聞いてみてください。そして、その訴えを否定せずに、まずは受け止めることから始めましょう。
子どもの体調不良を記録してみることもお勧めします。症状の出方のパターンが見えてくることで、起立性調節障害の可能性に気づくことができるかもしれません。
明日は、学校に行けなくなった子どもへの具体的な寄り添い方についてお話しします。今日は、お子さんの体調不良を「病気の症状かもしれない」という視点で、優しく見守ってみてください。
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