なぜうちの子、定期テストと実力テストでこんなに点数が違うの?
保護者面談でよく聞く「不思議な現象」
「先生、うちの子、定期テストはそこそこ取れるんですけど、実力テストになると全然ダメなんです...」
「逆に、普段の定期テストはイマイチなのに、実力テストだと意外と点数が取れるんです。どういうことでしょう?」
教員になって25年、このような相談を数え切れないほど受けてきました。そして、興味深いことに気づいたのです。
定期テストと実力テスト、同じ「テスト」でも、実は全く違う能力が問われているのです。
多くの保護者の方は「テストの点数=学力」と考えがちですが、実は定期テストで測られる力と、実力テストで測られる力は別物。お子さんがどちらかで苦戦しているのは、決して「勉強不足」や「能力不足」ではありません。
定期テストと実力テスト、何が違うの?
まず、この2つのテストの本質的な違いを理解しましょう。
【定期テスト】
・範囲が限定されている(教科書の○ページから○ページまで)
・学校の先生が作問(授業内容や先生の説明が反映される)
・試験までの準備期間が明確(通常2週間程度)
・短期記憶でも対応可能
・「覚える力」「再現する力」が重視される
・授業で扱った問題の類題が多い
【実力テスト】
・範囲が広い、または全範囲(これまで習った全内容)
・業者作成が多い(標準的・汎用的な問題)
・準備期間が曖昧(日頃の積み重ねが問われる)
・長期記憶が必要
・「理解する力」「応用する力」が重視される
・初見の問題、ひねった問題が多い
例えるなら、定期テストは「短距離走」、実力テストは「マラソン」のようなものです。
短距離走が得意な人とマラソンが得意な人が違うように、得意なテストのタイプも人それぞれなのです。
意外な事実:どちらも「頭の良さ」とは関係ない
ここで大切なことをお伝えします。
定期テストが得意でも実力テストが苦手な子、その逆の子、どちらも決して「頭が悪い」わけではありません。むしろ、それぞれに素晴らしい能力を持っているのです。
定期テストが得意な子の素晴らしい能力
・計画的に準備ができる力
・短期集中力の高さ
・真面目にコツコツ取り組める継続力
・明確な目標に向かって努力できる力
・与えられた課題を確実にこなす力
実力テストが得意な子の素晴らしい能力
・本質的な理解力
・知識を応用する力
・初見の問題にも対応できる柔軟性
・知識が長期記憶として定着している
・論理的思考力
どちらも素晴らしい能力です。問題は、「お子さんがどちらのタイプで、どう伸ばしていくか」を理解していないことなのです。
実は保護者のタイプも影響している?
面白いことに、保護者の方ご自身も、学生時代にどちらかのタイプだったはずです。
保護者面談でこんな会話をよくします。
「実は私も、テスト前は一夜漬けでなんとかなるタイプでした」
「私は一夜漬けは無理で、コツコツ型でしたね」
「私は定期テストはダメでしたけど、模試になると力を発揮できたんです」
そして驚くことに、お子さんも同じような傾向を示すことが多いのです。
これは遺伝ではなく、勉強への向き合い方や思考パターンが、日常の会話や行動を通じて、自然と親から子へ伝わっているからです。
例えば:
・計画的なお母さんの子は、計画的に準備する習慣がつきやすい
・「なぜ?」と考えるお父さんの子は、理解重視の学習スタイルになりやすい
・「まあ、なんとかなる」というお母さんの子は、ギリギリまで始めない傾向がある
だからこそ、お子さんのタイプを理解することは、親自身を理解することでもあるのです。
チェックリスト:うちの子はどっちタイプ?
以下のチェックリストで、お子さんのタイプを確認してみましょう。
【定期テスト型チェック】
□ テスト2週間前から計画的に勉強を始める
□ ノートをきれいにまとめるのが好き、または得意
□ 暗記カードを作ったり、繰り返し書いて覚えたりする
□ テスト範囲表をしっかり確認する
□ 提出物の期限は守れる
□ 「やることリスト」を作るのが好き
□ 授業で先生が「ここ大事」と言ったところをマークする
□ ワークやプリントを何度も解き直す
【実力テスト型チェック】
□ 授業中の理解は比較的早い
□ 「なぜそうなるの?」と理由を考えるのが好き
□ 初めて見る問題でも「やってみよう」と挑戦する
□ 昔習ったことを意外と覚えている
□ パズルやゲームの攻略が得意
□ 一度理解したことは忘れにくい
□ 応用問題の方が面白いと感じる
□ 丸暗記よりも理屈で覚える方が得意
どちらに多くチェックがつきましたか?
5個以上チェックがついた方が、お子さんの得意なタイプです。
両方に同じくらいチェックがついた場合は、バランス型です。これはとても良いことですが、もしテストで苦戦しているなら、どちらかの力をさらに伸ばす必要があるかもしれません。
今日から観察したいポイント
今日からお子さんの勉強の様子を、少し観察してみてください。
観察ポイント
勉強を始めるタイミング
・テスト前から計画的?それとも直前?
・勉強中の様子
・何度も繰り返し読んだり書いたりしている?
・それとも、じっくり考え込んでいる?
テスト後の様子
・「覚えたのに出なかった」と言う?
・それとも「解き方が分からなかった」と言う?
普段の会話
・「どう覚えればいい?」と聞く?
・それとも「なぜそうなるの?」と聞く?
これらの観察から、お子さんのタイプがより明確に見えてくるはずです。
明日は、「定期テストは得意だけど実力テストが苦手」なお子さんの特徴と、その本当の理由について詳しく解説します。多くの保護者の方が「うちの子、努力してるのになんで...」と悩むこのタイプ。実は、とても真面目で努力家なのに、ある「落とし穴」にはまっているだけなのです。
今日はお子さんの最近のテスト結果を見返してみてください。定期テストと実力テストの点数の差に、新しい発見があるはずです。
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