今日から始める進路決定へのステップ - 子どもと一緒に未来を描く

中3の今、具体的にやるべき5つのこと

5日間のシリーズも最終日となりました。今日は、「今すぐできる具体的なアクション」をお伝えします。

アクション①：情報を整理する（今週中）

この5日間で得た情報を整理しましょう。

・通える範囲の通信制高校リスト

・フリースクールの情報

・見学可能な日程

・利用できる支援制度

・ノートやスマホのメモに書き出すだけでも、頭の中が整理されます。

アクション②：見学の予約をする（今月中）

最低3校は見学に行きましょう。多くの学校は随時見学を受け付けています。

・通信制高校：2〜3校

・フリースクール：1〜2校（必要に応じて）

「まだ早いかな」と思わず、今から動き始めることが大切です。見学したからといって、必ず入学しなければいけないわけではありません。

アクション③：在籍中学校に相談する（今月中）

現在の中学校との連携も重要です。

・相談すべき相手：

　→担任の先生

　→学年主任

　→スクールカウンセラー

　→進路指導の先生

伝えること：

　→通信制高校への進学を検討していること

　→必要な書類や手続きについて

　→出席扱い制度について（フリースクールを利用する場合）

学校は味方です。遠慮せず相談しましょう。

アクション④：生活リズムを少しずつ整える（今日から）

高校進学に向けて、少しずつ生活リズムを整えていきましょう。

・起床時間を決める（まずは午前中に起きる）

・1日15分の学習時間を作る

・外出の機会を少しずつ増やす（コンビニ、図書館など）

・昼夜逆転を少しずつ改善する

・完璧を目指さず、できることから一つずつ。

アクション⑤：子どもと対話する時間を作る（毎週）

週に1回、30分でも良いので、進路について話す時間を作りましょう。

話すテーマ例：

　→今週見たパンフレットの感想

　→行ってみたい学校はあるか

　→高校でやってみたいこと

　→不安に思っていること

焦らず、少しずつ。対話を重ねることで、お子さんの本音が見えてきます。

子どもの「やりたいこと」を引き出す対話術

進路を決める上で最も大切なのは、お子さん自身の「やりたいこと」です。

でも、不登校を経験している子どもは、自分の気持ちが分からなくなっていることも多いのです。

段階的に引き出す質問の例

ステップ1：気持ちを聞く

「今、どんな気持ち？」

「学校について、どう思ってる？」

まずは今の気持ちを受け止めます。

ステップ2：好きなことを聞く

「最近、何してる時が楽しい？」

「好きなことって何かある？」

小さなことでもいいので、好きなことを見つけます。

ステップ3：興味を広げる

「それって、将来何かに活かせるかもね」

「その分野、もっと学んでみたいって思う？」

好きなことから、将来につながる興味を探します。

ステップ4：理想を聞く

「高校では、どんなことができたらいいと思う？」

「どんな高校生活だったら、楽しそう？」

具体的にイメージしてもらいます。

ステップ5：一緒に考える

「その理想に近い高校、一緒に探してみようか」

「そのためには、今何ができるかな？」

理想と現実をつなぐ道を一緒に考えます。

NGな質問

「将来何になりたいの？」（プレッシャーになる）

「どうして何もやりたいことがないの？」（責めてしまう）

「普通の高校じゃダメなの？」（否定してしまう）

焦らず、否定せず、一緒に探す姿勢が大切です。

情報収集の進め方 - 相談できる場所と活用法

一人で悩まず、様々な場所で相談しましょう。

①在籍中学校

【相談できること】

・通信制高校への転学手続き

・必要な書類

・成績や出席の状況

・推薦入試の可能性

【相談のコツ】

・事前に電話で相談の予約を

・聞きたいことをメモしておく

・子どもの了解を得てから相談

②教育相談センター（各自治体）

【相談できること】

・進路全般の相談

・不登校への対応

・学習支援機関の紹介

・フリースクールの情報

【相談のコツ】

・無料で利用できる

・予約制のところが多い

・継続的に相談できる

③通信制高校の相談窓口

【相談できること】

・学校の詳しい説明

・入試について

・学費・支援制度

・見学・体験入学

【相談のコツ】

・複数校に相談して比較

・質問リストを用意しておく

・子どもと一緒に相談に行く

④フリースクール

【相談できること】

・学習支援の内容

・進路サポート

・費用・利用方法

・体験入会

【相談のコツ】

・実際に見学してから決める

・スタッフとの相性も重要

・他の保護者の話も聞いてみる

⑤先輩保護者・不登校親の会

【相談できること】

・実際の経験談

・学校選びのアドバイス

・心の支え

・リアルな情報

【相談のコツ】

・自治体やフリースクールで開催

・SNSのコミュニティも活用

・情報は参考程度に（状況は人それぞれ）

・願書提出までのスケジュール管理

通信制高校への進学を考える場合、一般的なスケジュールは以下の通りです。

【11月〜12月】情報収集・見学

・学校のパンフレット取り寄せ

・ホームページで情報収集

・学校見学（複数校）

・体験入学（あれば参加）

【1月】志望校決定

・家族で話し合い

・志望校を絞る（第1〜第3希望）

・在籍中学校に相談

・出願書類の確認

【2月】出願準備

・必要書類を揃える

・作文・志望理由書の作成

・面接練習

・出願（学校により時期は異なる）

【3月】入試・合格発表

・面接試験（学力試験がある場合も）

・合格発表

・入学手続き

・教材受け取り

【4月】入学

・オリエンテーション

・新しい生活のスタート

※注意点

・学校により入試時期は異なる

・通信制高校は随時入学可能な学校も多い

・早めに動けば選択肢が広がる

・「まだ11月だから」と思わず、今から動き始めましょう。情報収集には時間がかかります。

親子で作る「進路決定シート」の活用例

最後に、親子で一緒に作る「進路決定シート」をご紹介します。

進路決定シート

【子どもの希望】

□ やりたいこと・興味があること：

□ 高校でこうなりたい：

□ 通学は可能？（週に何日くらい？）：

□ 友達はほしい？：

□ 勉強はどのくらい頑張りたい？：

【保護者の希望】

□ 親として大切にしたいこと：

□ 心配なこと：

□ 費用の上限：

□ 通学範囲：

□ サポート体制で重視すること：

【二人で決める条件】

◎ 絶対に外せない条件（3つまで）：

1.

2.

3.

△ できればほしい条件：

1.

2.

3.

【候補の学校】

第1希望：

理由：

見学日：

第2希望：

理由：

見学日：

第3希望：

理由：

見学日：

このシートを一緒に埋めながら、対話を深めていきましょう。

最後に - どんな道を選んでも応援できる親でいるために

5日間のシリーズを読んでいただき、ありがとうございました。

最後に、保護者の皆さんにお伝えしたいことがあります。

完璧な進路選択なんてない

どんな選択をしても、「これで本当に良かったのかな」と不安になることがあるでしょう。でも、完璧な選択なんて誰にもできません。

大切なのは、お子さんと一緒に考えて決めたという事実です。

子どもは必ず成長する

今は学校に行けなくても、将来がないわけではありません。私は15年間、多くの不登校だった子どもたちが、自分の道を見つけて歩んでいく姿を見てきました。

時間はかかるかもしれません。遠回りするかもしれません。でも、子どもたちは必ず成長します。

親の愛情が一番の支え

どんな学校に行くか、どんな進路を選ぶかよりも大切なのは、「あなたのことを信じているよ」「どんな選択も応援するよ」という親の愛情です。

その愛情があれば、お子さんはどんな道でも前に進んでいけます。

親自身も大切に

不登校のお子さんを支えるのは、心身ともに大変なことです。親自身が疲れ切ってしまっては、子どもを支えられません。

・時には誰かに愚痴を言う

・趣味の時間を持つ

・一人の時間を作る

・必要なら親自身もカウンセリングを受ける

・親自身のメンタルヘルスも、とても大切です。

今日、できることから

明日から全てが変わるわけではありません。でも、今日から少しずつ、前に進むことはできます。

・お子さんに「最近どう？」と声をかける

・一緒にパンフレットを見る

・見学の予約をする

1・5分一緒に勉強する

小さな一歩でも、確実に前進しています。

お子さんの人生はお子さんのもの

最後にこれだけは覚えておいてください。

お子さんの人生は、お子さん自身のものです。親ができるのは、選択肢を示し、一緒に考え、どんな選択も応援すること。

そして、いつでも帰ってこられる温かい家庭を用意しておくことです。

どんな道を選んでも、お子さんが幸せになれるように。

長期的な視点で、愛情を持って、見守っていきましょう。

もし困った時は、いつでも相談機関やフリースクール、通信制高校に相談してください。一人で抱え込まないでくださいね。

来週からは、また新しいテーマで皆様のお役に立てる情報をお届けします。

お子さんとご家族の幸せを、心から願っています。