『相談』って何だろう? - 待つだけではない、これからの支援のカタチ
従来の「相談」のイメージを問い直す
「子どもの相談って、どんなイメージを持っていますか?」
多くの方は、静かな個室で、カウンセラーと子どもが一対一で向き合って話をする...そんな光景を思い浮かべるのではないでしょうか。もちろん、それも大切な相談の形です。
でも、私たちが奉還町商店街で活動してきた7年間で気づいたことがあります。それは、「本当に支援が必要な子どもほど、相談窓口に来ない」という現実です。
「困ったら相談してね」と言われても、多くの子どもたちは「自分が困っている」こと自体に気づいていなかったり、「相談する」というハードルが高すぎて一歩を踏み出せなかったりするのです。
「困ってから」ではなく「困る前に」という発想転換
ある中学2年生の男子生徒のことをお話しします。彼は学校に通えなくなり、家にひきこもるようになっていました。お母さんが何度も相談機関に連れて行こうとしましたが、「行きたくない」の一点張り。
ところが、ある日ふらっと商店街を歩いていた彼を、八百屋のおじさんが声をかけました。
「おう、久しぶりやな。元気にしとったか?」
たった一言の声かけでした。でもその日から、彼は時々商店街に来るようになり、八百屋の手伝いをするようになりました。そして半年後、「高校には行きたい」と自分から言い出したのです。
この出来事が教えてくれたのは、「困る前に日常的につながっておく」ことの大切さでした。相談は、「困ったときに行く場所」ではなく、「困る前から関係がある」ことが理想なのです。
子ども・若者が本当に求めている"つながり"とは
子どもたちに「どんな大人だったら話しやすい?」と聞くと、こんな答えが返ってきます。
「別に解決してくれなくてもいい。ただ、話を聞いてくれる人」
「自分のことを否定しない人」
「たまたまそこにいて、話しかけてくれる人」
つまり、子どもたちが求めているのは「相談員」ではなく、「自然に話せる関係」なのです。
商店街で出会う店主さん、ユースセンターで一緒にゲームをする少し年上のスタッフ、カフェで勉強していたら声をかけてくれた大学生...。そんな「ななめの関係」の大人たちが、子どもたちにとっての大切な相談相手になっています。
相談窓口から「ななめの関係」へ - 新しい支援の可能性
「ななめの関係」とは、親でも先生でもない、斜め上から見守ってくれる存在のことです。
縦の関係(親や教師)は、どうしても「指導」や「評価」が入ります。横の関係(友達)は、同じ悩みを抱えていて相談できないこともあります。
だからこそ、斜めの関係が必要なのです。
奉還町商店街では、商店主さんたちが自然にこの役割を担っています。「今日学校どうやった?」「何か困っとることない?」といった何気ない会話が、子どもたちにとっての大切な相談の場になっているのです。
あなたの周りにいる子どもたちのサインに気づいていますか
最後に、こんなことを考えてみてください。
あなたの周りには、どんな子どもたちがいますか?近所の子ども、通学路で見かける子ども、お店に来る子ども...。
その子たちは、元気そうに見えますか?
最近、何か変化はありませんでしたか?
以前よりも表情が暗くなっていたり、一人でいることが多くなっていたり...。
もしそんな変化に気づいたら、まずは「こんにちは」と声をかけてみてください。それだけで、その子にとっての「ななめの大人」になれるかもしれません。
明日は、支援者・相談に関わる人に必要な5つの心構えについてお話しします。「自分には何ができるだろう?」そう思った方は、ぜひ明日もお読みください。
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