"相談員"ではなく"良き隣人"に - 支援者に必要な5つの心構え

心構え①:「教える人」ではなく「一緒に考える人」になる

「先生、私、どうしたらいいですか?」

子どもからこう聞かれたとき、あなたならどう答えますか?つい、「こうしたらいいよ」とアドバイスしたくなりますよね。

でも、ちょっと待ってください。

私たちが奉還町ユースセンターで大切にしているのは、「答えを教える」ことではなく、「一緒に考える」ことです。

ある高校1年生の女の子が、「進路をどうしよう」と相談に来たときのことです。私たちは答えを提示する代わりに、こう聞きました。

「今、何が一番気になってる?」

「どんな未来だったら、ワクワクする?」

「そのために、今できることって何だと思う?」

すると彼女は、30分ほどかけて自分で答えを見つけていったのです。

「実は、デザインの仕事に興味があって...」

彼女にとって必要だったのは、「こうしなさい」というアドバイスではなく、自分の気持ちを整理する時間と、それを聞いてくれる人だったのです。


心構え②:完璧な答えを持たなくていい - 「わからない」と言える強さ

支援者になろうとする人ほど、「ちゃんとした答えを持っていなければ」というプレッシャーを感じます。

でも、正直に言います。私たちも、すべての答えを持っているわけではありません。

「それ、私もわからないな。一緒に調べてみようか?」

「難しい問題だね。他の人にも聞いてみようか?」

こんなふうに「わからない」と言える関係こそが、子どもたちにとって居心地の良い関係なのです。

あるスタッフが、中学生から「メンタルの不調で病院に行きたいけど、親にどう言ったらいいかわからない」と相談されたとき、こう答えました。

「それは大切なことだから、専門の人に相談してみない?一緒に考えよう」

そして、地域の相談機関につなぎました。その後、その中学生は「一人で抱え込まなくていいんだって思えた」と話してくれました。

大切なのは、完璧な答えを持つことではなく、「一緒に考える」「適切な人につなぐ」姿勢なのです。


心構え③:「問題解決」より「関係構築」を優先する理由

私たちが最も大切にしているのは、「今ある問題を解決すること」よりも、「長期的に関係を続けること」です。

なぜなら、子どもの人生は一つの問題が解決したら終わりではないからです。次々と新しい課題が現れます。そのたびに支援につながれる関係があることが、何よりも大切なのです。

なないろ学習塾に通うある小学生は、最初は「学校に行けない」という悩みで来ました。でも、商店街にある塾で過ごす中で、少しずつ自信を取り戻し、今では週に2日学校に通えるようになっています。

彼の変化を支えたのは、「学校に行かせよう」という働きかけではなく、「いつでも来ていいよ」という居場所と、「今日も来たんだね」と声をかけてくれる塾スタッフや商店街の人たちとの関係でした。


心構え④:予防的アプローチの実践 - 日常の中の小さな変化を見逃さない

「困ってから」ではなく「困る前に」手を差し伸べる。これが予防的アプローチです。

商店街の八百屋のおじさんは、こんなことを教えてくれました。

「あの子、最近元気ないんよ。前は毎日『おはよう!』って大きい声で言いよったのに、この1週間、下向いて歩いとる」

些細な変化に気づくこと。それが予防的アプローチの第一歩です。

私たちは、地域交流ステーションverdeで中高生たちと日常的に関わることで、彼らの小さな変化に気づけるようにしています。

「最近、学校の話しなくなったね」

「いつもより元気ないけど、何かあった?」

こんな声かけが、大きな問題になる前に子どもたちを支えるセーフティネットになっているのです。


心構え⑤:自分自身の"余白"を大切にする - 支援者のセルフケア

最後に、最も大切なことをお伝えします。

それは、支援者自身が健康で、心に余裕があることです。

子どもたちの悩みを聞いていると、つい自分のことを後回しにしてしまいがちです。でも、支援者が疲弊してしまっては、誰も支えられません。

私たちのスタッフは、月に1回「ふりかえりミーティング」を行っています。そこでは、子どもたちの話だけでなく、スタッフ自身の悩みや疲れも共有します。

「最近、ちょっと抱え込みすぎてたかも」

「あのケース、一人で考えてたけど、みんなの意見も聞きたい」

こんなふうに、スタッフ同士で支え合う文化があるからこそ、持続可能な支援ができるのです。

あなたも、支援者として活動するなら、ぜひ自分自身の"余白"を大切にしてください。疲れたら休む、悩んだら誰かに相談する、一人で抱え込まない。

そうすることで、子どもたちにとっても、あなた自身にとっても、良い関係が続いていくのです。

明日は、子ども・若者世代との具体的な対話の方法についてお話しします。「どんな声かけをしたらいいの?」そんな疑問をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

--------------

なないろ学習塾では現在、新規入塾者を募集中です。(岡山教室・倉敷教室共に受け入れ可能)相談・見学・無料体験随時受付中です。気になる方は一度お電話ください。

電話086-897-2476(受付時間 平日13-20時 土曜10-16時)

できた!がふえる - なないろ式学習法の実践ブログ

発達障害・学習障害、不登校など「様々な不器用さ」を抱える子が「できた!」を積み重ねる喜びを大切に。 なないろ学習塾では一人ひとりの特性に合わせた学びを提供し、小さな成功体験を大切にしています。そんな「なないろメソッド」を紹介するブログです。 現在、新規入塾者を募集中です。(岡山教室・倉敷教室)相談・見学・無料体験随時受付中です。気になる方は一度お電話ください。086-897-2476

0コメント

  • 1000 / 1000