受験まであと3ヶ月…『間に合わない』と感じている親子へ、塾講師が伝えたい現実と希望
12月を迎える受験生の3つのタイプ
教職について25年、毎年この時期になると、保護者の方々の表情に変化が現れます。11月の三者面談を終え、12月を目前にした今、受験生たちは大きく3つのタイプに分かれます。
タイプ1:順調に学力を伸ばしているグループ
夏休みからコツコツと積み重ねてきた努力が実を結び、模試の結果も安定しています。志望校も固まり、あとは本番に向けて仕上げをしていく段階です。
タイプ2:伸び悩みを感じているグループ
頑張っているのに思うように成績が上がらない。模試の結果を見るたびに不安が大きくなっています。志望校を変更すべきか、このまま頑張るべきか、判断に迷っている状態です。
タイプ3:スタートが遅れたグループ
部活を引退してから本格的に受験勉強を始めた、あるいは何らかの事情で欠席が多く、学習が思うように進んでいません。「もう間に合わないのでは」という不安を抱えています。
もしお子さんがタイプ2や3に当てはまるなら、今日のブログはきっとお役に立てると思います。
「模試の結果が伸びない」本当の理由
「先生、うちの子、夏休みも塾に通って頑張っているのに、模試の偏差値が上がらないんです…」
この時期、こうした相談を数多く受けます。でも、少し立ち止まって考えてみてください。模試の結果が伸びない理由は、必ずしも「頑張りが足りない」からではありません。
理由1:学習内容と出題範囲のミスマッチ
基礎固めに時間をかけている時期は、応用問題が多い模試では点数が取りにくいものです。でも、その基礎固めこそが、本番で得点する力の土台になるのです。
理由2:他の受験生も頑張っている
9月以降、多くの受験生が本気モードに入ります。自分が頑張っても、周りも同じように頑張っているため、相対的な順位(偏差値)が上がりにくいのです。これは決して悪いことではありません。
理由3:成長には「熟成期間」が必要
植物の成長に例えるなら、今は土の中で根を張っている時期かもしれません。目に見える芽(点数)が出るまでには、もう少し時間が必要なのです。
実際、私の塾では毎年、12月の模試で偏差値が5以上アップする生徒が珍しくありません。それまでコツコツ積み重ねてきたことが、この時期に一気に開花するのです。
親が感じる焦りと子どもが抱える不安のズレ
面談をしていて気づくのは、親子の間に大きな「感情のズレ」があることです。
親の焦り:
「このままで本当に大丈夫なの?」「志望校を下げた方がいいのでは?」「もっと勉強時間を増やさないと」
子どもの不安:
「頑張っているのに結果が出ない」「親に心配かけて申し訳ない」「でも、志望校は諦めたくない」
親は「結果」を見て焦り、子どもは「努力」を認めてほしいと感じています。このズレが、親子関係をギクシャクさせてしまうことがあるのです。
この時期によくある親子の会話パターン
塾生の保護者の方からよく聞く会話パターンをご紹介します。
パターン1:責めてしまうパターン
親:「この前の模試、また下がってたじゃない。ちゃんと勉強してるの?」
子:「してるよ…」
親:「スマホばっかり見てるように見えるけど」
子:「……」(部屋にこもる)
パターン2:不安を伝えてしまうパターン
親:「この成績じゃ、志望校は無理かもしれないわね」
子:「……わかってる」
親:「ランクを下げた方がいいんじゃない?」
子:「自分で考える」(イライラ)
パターン3:比較してしまうパターン
親:「○○さんの子は成績上がったんですって」
子:「だから何?」
親:「あなたももっと頑張らないと」
子:「うるさい!」
心当たりがある方もいらっしゃるかもしれません。でも、これは決して「悪い親」だからではありません。お子さんを思うあまりの言葉だということは、私もよくわかっています。
「もう遅い」と諦める前に知っておきたいこと
「先生、今から頑張っても、もう間に合わないですよね…」
お母さんの目には涙が浮かんでいました。でも、私は25年の経験から自信を持って言えます。
「まだ間に合います」
入試まで残り約3ヶ月。確かに時間は限られていますが、この3ヶ月の使い方次第で、結果は大きく変わります。
実際の数字をお見せしましょう。岡山県の公立高校入試は250点満点です。仮に今の実力が150点だとして、目標が180点だとすると、必要なのは30点アップです。
5教科で30点ということは、1教科あたり6点。これは決して不可能な数字ではありません。
理科:暗記分野を重点的に復習(+8点)
社会:歴史・地理の基本用語を覚える(+8点)
数学:計算問題の精度を上げる(+6点)
英語:基本文法と単語を固める(+5点)
国語:漢字と古文の基礎を押さえる(+3点)
このように戦略的に学習すれば、3ヶ月で30点アップは十分に現実的なのです。
実は12月からでも間に合う生徒の共通点
25年間で数多くの「逆転合格」を見てきました。12月以降に成績が伸びる生徒には、共通する特徴があります。
特徴1:素直である
先生や親のアドバイスを素直に聞き入れ、実行できる生徒は伸びます。「でも」「だって」という言葉が少なく、「わかりました、やってみます」と言える素直さが大切です。
特徴2:基礎を固めることを恐れない
応用問題にばかり目が行きがちですが、基礎固めに時間を使える生徒は強いです。「今さら基礎なんて」と思わず、穴を埋めていく作業を大切にします。
特徴3:目標が明確である
「なぜその高校に行きたいのか」が明確な生徒は、困難に直面しても諦めません。目標が自分の言葉で語れることが、モチベーションの源になります。
特徴4:適度に休息を取れる
根を詰めすぎず、メリハリをつけて学習できる生徒は、最後まで集中力を保てます。「頑張る時は頑張る、休む時は休む」というバランス感覚が重要です。
特徴5:親子関係が良好である
家庭が安心できる場所であること。これが何より大切です。親に見守られている安心感が、子どもの頑張りを支えます。
明日は、志望校を決定する際の具体的な判断基準についてお話しします。「志望校を下げるべきか、挑戦すべきか」という悩みに、25年の経験から具体的にお答えしていきます。
今夜、お子さんに声をかけるとしたら、こんな言葉はいかがでしょうか。
「お母さん(お父さん)は、あなたが毎日頑張っているのをちゃんと見てるよ。結果はすぐに出ないかもしれないけど、その努力は絶対に無駄にならないから。一緒に頑張ろうね」
この一言が、お子さんの明日への活力になるかもしれません。
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