志望校を下げるべき?それとも挑戦?25年の経験から語る、後悔しない判断基準
模試の結果だけで判断してはいけない理由
「先生、模試の判定がずっとC判定なんです。志望校を変えた方がいいでしょうか?」
この質問に、私は即答しません。なぜなら、模試の結果は「今この瞬間の実力」を示すものであって、「3ヶ月後の本番での実力」を示すものではないからです。
25年間で学んだことがあります。それは、模試の判定と合否は必ずしも一致しないということです。
実際の統計を見てみましょう。C判定(合格可能性50〜60%)の生徒のうち、約半数は合格しています。逆に言えば、A判定でも不合格になる生徒もいるのです。
では、模試の結果をどう活用すべきか。それは「現在地の確認」と「弱点の発見」のためです。
活用法1:苦手分野の特定
どの科目のどの分野で点数を落としているのか。それを明確にすることで、今後の学習計画が立てられます。
活用法2:時間配分の確認
時間が足りなかったのか、それとも解けなかったのか。この違いを見極めることが大切です。
活用法3:本番の雰囲気に慣れる
模試は、本番のシミュレーションです。緊張感の中で問題を解く経験そのものに価値があります。
模試は「今の実力を測る道具」であって、「未来を決める裁判官」ではありません。
「安全校」「実力相応校」「チャレンジ校」の本当の意味
志望校選びでよく使われるこれらの言葉。でも、その本当の意味を理解していますか?
〇安全校の定義と選び方
模試で常にA判定が出る学校のことです。「絶対に合格できる」という安心感がある一方で、入学後に「物足りない」と感じる可能性もあります。
安全校を選ぶ際のポイント:
・通学時間は無理なく通える範囲か
・部活動や校風は自分に合っているか
・「ここでも頑張れる」と思えるか
実力相応校の定義と選び方
模試でB判定からC判定が出る学校です。今の実力で十分合格可能性があり、入学後も無理なく学習できるレベルです。
多くの場合、この「実力相応校」が最も良い選択となります。背伸びしすぎず、かといって余裕を持ちすぎない、ちょうど良い環境で成長できるからです。
〇チャレンジ校の定義と選び方
模試でD判定やE判定が出る学校です。合格するには相当の努力が必要ですが、「どうしてもこの学校に行きたい」という強い思いがある場合は挑戦する価値があります。
ただし、チャレンジ校を第一志望にする場合は、必ず「第二志望」「第三志望」として、実力相応校や安全校も検討しておくことが重要です。
学力の伸びを見極める3つのチェックポイント
志望校を決める際、最も重要なのは「これからどれだけ伸びるか」という視点です。過去の模試の結果を並べて、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。
チェックポイント1:点数の推移グラフを描く
夏休み以降の模試の点数を折れ線グラフにしてみましょう。
右肩上がり→学力は確実に伸びています。この調子で頑張れば、さらなる伸びが期待できます
横ばい→基礎固めの時期かもしれません。もうすぐブレイクスルーが来る可能性があります
右肩下がり→学習方法の見直しが必要です。ただし、これは「伸びない」ではなく「やり方を変える必要がある」というサインです
チェックポイント2:得意科目と苦手科目のバランス
5教科の中で、極端に点数が低い科目はありますか?
例えば、国語・数学・英語は良いのに、理科・社会が極端に低い場合、逆に伸びしろが大きいと言えます。暗記科目は短期間で点数アップが可能だからです。
逆に、全科目がまんべんなく低い場合は、基礎から丁寧に積み上げる時間が必要かもしれません。
チェックポイント3:本人のやる気と学習態度
これが最も重要です。以下の質問に答えてみてください。
□ 子どもは自分から机に向かっていますか?
□ 勉強について前向きな発言をしていますか?
□ 志望校について熱く語ることがありますか?
□ 困難があっても諦めない姿勢が見られますか?
□ 生活リズムは整っていますか?
これらに多く「はい」と答えられるなら、たとえ今の成績が志望校に届いていなくても、諦めるのはまだ早いです。
志望校変更を考えるタイミングと判断材料
それでも、志望校の変更を考えなければならない場合もあります。以下のような状況では、真剣に検討する必要があるかもしれません。
変更を検討すべきサイン:
〇12月の模試でもE判定が続く
11月、12月と2回連続でE判定(合格可能性20%以下)が出た場合は、現実的な選択を考える時期かもしれません。
〇本人が精神的に追い詰められている
勉強がストレスになりすぎて、笑顔が消えてしまった、食欲がなくなった、眠れなくなったなどの症状が出ている場合は、志望校変更も視野に入れましょう。
〇学習方法を変えても成績が上がらない
塾の先生のアドバイスを実行しても、家庭教師をつけても、それでも成績が上がらない場合は、目標の見直しが必要かもしれません。
ただし、以下の場合は変更を急ぐ必要はありません:
〇本人が「まだ諦めたくない」と言っている
子ども自身に強い意志がある場合、その気持ちを尊重することが大切です。
模試の判定は悪いが、点数自体は上がっている
周りも頑張っているため判定は悪くても、実際の点数が上がっているなら、成長している証拠です。
〇特定の科目だけが足を引っ張っている
その科目を集中的に対策すれば、十分に挽回可能です。
子ども自身の「受験したい気持ち」を確認する方法
志望校を決める際、最も大切なのは子ども自身の気持ちです。でも、その気持ちをどう確認すればいいのでしょうか?
以下のような問いかけをしてみてください。決して詰問するのではなく、穏やかな雰囲気で、時間をかけて話を聞きましょう。
質問1:「なぜその学校に行きたいの?」
理由を自分の言葉で語れるかどうか。「なんとなく」ではなく、具体的な理由があるかを確認します。
良い答えの例:
「あの学校の○○部で活動したい」
「将来△△になりたいから、その勉強ができる学校がいい」
「文化祭を見て、雰囲気がすごく良かった」
質問2:「今の勉強、辛い?それとも頑張れる?」
無理をして体調を崩すほど辛いのか、それとも頑張れる範囲の辛さなのかを確認します。
質問3:「もし不合格だったら、どう思う?」
この質問には注意が必要ですが、子どもがどこまで覚悟を持っているかを知ることができます。
質問4:「お母さん(お父さん)に相談したいことはある?」
親に判断を委ねたいのか、自分で決めたいのか。子どもの気持ちを確認します。
これらの会話を通じて、子どもの本当の気持ちが見えてくるはずです。
塾で見た「逆転合格」の成功事例
最後に、実際にあった逆転合格の事例をご紹介します。すべて私の塾の生徒で、個人情報に配慮して内容を一部変更しています。
事例1:12月の模試で偏差値7アップのAくん
11月まで志望校判定はD判定。しかし、苦手な数学に絞って徹底的に基礎から復習。12月の模試で数学が20点アップし、総合偏差値も7上がりました。結果、C判定まで上昇し、本番でも見事合格。
ポイント:全科目を平均的にやるのではなく、足を引っ張っている科目に集中した
事例2:内申点は低かったが当日点で勝負したBさん
中学時代に不登校気味で、内申点は低め。しかし「高校では頑張りたい」という強い意志があり、当日点勝負に賭けました。理科と社会の暗記に特化し、3ヶ月で50点以上アップ。本番では高得点を取り、見事合格。
ポイント:内申点をカバーできるだけの当日点を戦略的に狙った
事例3:志望校を変えずに最後まで頑張ったCくん
周囲から「無理だ」と言われ続けましたが、本人は「絶対にこの学校に行きたい」と主張。1月になっても判定はD判定でしたが、最後まで諦めず、毎日塾に来て勉強。本番では奇跡的に自己ベストを更新し、合格しました。
ポイント:強い意志と最後まで諦めない姿勢が、力を引き出した
これらの事例に共通しているのは、「諦めなかったこと」「戦略を持って学習したこと」「親のサポートがあったこと」の3つです。
明日は、内申点に不安がある場合の対策についてお話しします。欠席日数が多い、内申点が低いという悩みを持つ保護者の方に、今からできる具体的な方法をお伝えします。
今夜、家族で志望校について話し合ってみませんか?お子さんの本当の気持ちを聞くチャンスです。ただし、結論を急がず、まずは「聞くこと」に徹してください。お子さんの言葉の中に、大切なヒントが隠れているはずです。
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