「自分で考える力」が育たない子どもたち〜過干渉が奪う5つの大切な力〜
塾で見る「指示待ち」の子どもたち
「先生、これで合ってますか?」「次は何をすればいいですか?」
最近、こんな質問をする子どもたちが増えています。答えが出る前に確認を求める、自分で判断することを避ける、そんな「指示待ち」の子どもたちです。
実は、この現象の背景には家庭での過干渉があることが多いのです。
過干渉が奪う5つの大切な力
1. 問題解決能力
過干渉な環境で育った子どもは、困ったときに「どうしよう」ではなく「誰か助けて」と考える癖がついてしまいます。
例:算数の文章問題で少し悩んだ時点で「わからない」と諦める
→ 本来なら「もう一度読み直してみよう」「図を描いてみよう」と考える力があるはずなのに
2. 失敗から学ぶ力
失敗を先回りして防がれた子どもは、失敗したときにどう対処すればいいかわからなくなります。
例:テストで間違えると「もうダメだ」と思考停止
→ 「なぜ間違えたのか」「次はどうすればいいか」を考える機会を奪われている
3. 自己肯定感
常に誰かが先回りして助けてくれる環境では、「自分一人では何もできない」という思い込みが育ってしまいます。
例:「どうせ僕にはできない」が口癖になる
→ 挑戦する前から諦める思考パターンの完成
4. 主体性・積極性
何事も親が決めてくれる環境では、自分で選択し、行動する力が育ちません。
例:「何がしたい?」と聞かれても「わからない」と答える
→ 自分の気持ちや興味を見つめる習慣がない
5. コミュニケーション能力
親が子どもの代弁をしすぎると、自分の考えを言葉にする力が育ちません。
例:友達とのトラブルを親が解決してしまう
→ 自分で話し合って解決する経験ができない
実際の事例:中学2年生のY君の場合
Y君のお母さんは、とても愛情深い方でした。毎日お弁当を作り、忘れ物がないかチェックし、宿題も一緒に確認していました。
でも、中学2年生になったY君は:
・時間割を自分で確認できない
・宿題でわからない問題があると、考えずにすぐ「教えて」と言う
・部活で嫌なことがあっても、自分で解決しようとしない
・将来の夢を聞かれても「わからない」としか答えられない
お母さんの愛情が、皮肉にもY君の成長を妨げてしまっていたのです。
「頼られること」の心地よさという落とし穴
過干渉をしてしまう親の多くが、実は「子どもに頼られること」に心地よさを感じています。
「お母さんがいないとダメ」と言われると、嬉しく感じてしまう。でも、これは本当に喜ぶべきことでしょうか?
子どもの「お母さんがいないとダメ」は、実は「SOS」のサインかもしれません。「一人では何もできない自分」に困っているサインなのです。
過干渉の「負のスパイラル」
過干渉は悪循環を生みます:
・親が先回りして助ける
・子どもが自分で考える機会を失う
・子どもの問題解決能力が育たない
・より困ったときに頼ってくる
・親がさらに助けてしまう
この循環を断ち切らない限り、子どもの自立は遠ざかる一方です。
今からでも間に合います
でも、安心してください。気づいた今からでも十分間に合います。
子どもの力を信じることから始めましょう。今まで親がやっていたことを、少しずつ子どもに任せてみる。最初は失敗するかもしれません。でも、その失敗こそが子どもの成長の糧になるのです。
明日は、適切な関わりと過干渉の境界線について、具体的にお話しします。「どこまでが適切で、どこからが過干渉なのか」その判断基準を一緒に考えてみましょう。
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