小学生向け:『心が動いた場面』を見つける3つのコツ
小学生の読書感想文でよくある「困った」パターン
小学生の保護者の方からよく聞く悩みがあります。
「うちの子、本は読むんですが、感想文となると『面白かった』『感動した』しか言わないんです...」
そうなんです。小学生は感受性が豊かで、実はたくさんのことを感じているのですが、それを言葉にするのが苦手なだけなのです。
昨年指導した小学4年生のAちゃんも同じでした。『西の魔女が死んだ』を読んで「おばあちゃんが優しくて良かった」としか言えませんでした。
でも、お母さんとの会話を聞いていると、「おばあちゃんみたいに、私も魔女になりたい」「うちのおばあちゃんも、あんな風に教えてくれたらいいのに」なんて話していたんです。
実は、Aちゃんはちゃんと感想を持っていました。ただ、それを「感想文」として書く方法を知らなかっただけなのです。
付箋を使った「心のメモ」作戦
小学生にお勧めしているのが、「付箋作戦」です。本を読みながら、心が動いた場面に付箋を貼っていくのです。
付箋の色分けルール
黄色:「面白い!」と思った場面
ピンク:「悲しい」「可哀想」と思った場面
青:「すごい!」「びっくり!」した場面
緑:「自分と同じ!」「わかる!」と思った場面
最初は「こんなことで付箋貼っていいの?」と遠慮する子もいます。でも、「どんな小さなことでもいいよ、君の心が動いたんだから大切だよ」と伝えると、どんどん貼るようになります。
先ほどのAちゃんも、この方法で『西の魔女が死んだ』を読み返しました。すると、黄色の付箋が15枚、ピンクが8枚、緑が12枚も貼られていました。
「こんなにたくさん感じてたんだ!」とAちゃん自身もびっくり。これが感想文への第一歩なのです。
「なぜ?」「どうして?」を大切にする質問リスト
付箋を貼った場面について、今度は「なぜそう思ったのか」を考えてみます。小学生には、以下の質問リストを使います。
・面白いと思った場面について
・どうして面白いと思ったの?
・自分だったらどうする?
・似たような経験はある?
・悲しいと思った場面について
・どうして悲しくなったの?
・その人の気持ちがわかる?
・君だったらどんな気持ち?
・すごいと思った場面について
・どうしてすごいと思ったの?
・君にもできそう?
・やってみたいと思う?
・自分と同じと思った場面について
・どこが同じだと思ったの?
・君の体験を教えて
・同じような時、君はどうした?
Aちゃんの場合、「おばあちゃんが魔女の修行を教えてくれる場面」に緑の付箋を貼っていました。
「どこが同じだと思ったの?」と聞くと、「私も、おばあちゃんからお料理を教えてもらったことがあるから」という答えが返ってきました。
そこから、「その時どんな気持ちだった?」「おばあちゃんはどんな風に教えてくれた?」と質問を重ねていくと、素晴らしい感想が生まれました。
家族との対話で感想を深める方法
感想を深めるには、家族との対話がとても効果的です。でも、「感想を聞かせて」と構えると、子どもは身構えてしまいます。
効果的な対話の始め方
❌「読書感想文のために、感想を聞かせて」
⭕「その本、面白そうだね。どんなお話?」
❌「どこが一番良かった?」
⭕「お母さんも読んでみたいな。どんなところが気に入った?」
❌「なぜそう思うの?」
⭕「へー、そうなんだ。もう少し詳しく教えて」
ポイントは、「感想文のため」という目的を前面に出さないことです。純粋にその本に興味を持った大人として、子どもの話を聞いてあげてください。
実際の指導例:4年生Aちゃんの変化
Aちゃんの感想文がどう変わったかをご紹介します。
指導前
「西の魔女が死んだは、おばあちゃんと女の子のお話です。おばあちゃんが魔女の修行を教えてくれます。とても優しいおばあちゃんでした。私も魔女になりたいと思いました。」
指導後
「私がこの本で一番心に残ったのは、おばあちゃんが『何でも自分で決められる』と教えてくれる場面です。なぜなら、私もお母さんに『これはダメ、あれはダメ』と言われることが多くて、自分で決められないことにイライラしていたからです。
でも、おばあちゃんは『自分で決めるということは、責任を持つということ』とも言っていました。私は今まで、自分で決めたいけれど責任は持ちたくないと思っていました。それはわがままだったのかもしれません。
私もおばあちゃんのように、自分で決めて、責任も持てる人になりたいです。そのためには、まずは小さなことから自分で決める練習をしてみようと思います。」
同じ子が書いたとは思えませんよね。でも、これは特別なことではありません。Aちゃんの中にもともとあった感想を、対話によって引き出しただけなのです。
本選びのポイント:小学生におすすめのジャンル
最後に、小学生の読書感想文におすすめの本のジャンルをご紹介します。
低学年(1-2年生)
・身近な動物が主人公の物語
・家族の絆を描いた温かい話
・季節感のある日本の昔話
中学年(3-4年生)
・友情や仲間を大切にする冒険小説
・自分と同年代の主人公が成長する話
・身近な問題を扱った現代小説
高学年(5-6年生)
・歴史上の人物を扱った伝記
・社会問題を子ども目線で描いた作品
・海外の文化や生活を描いた物語
大切なのは、子ども自身が「読んでみたい」と思える本を選ぶことです。
明日は中学生向けに、より深い視点で読書感想文を書く方法をお伝えします。小学生の保護者の方も、お子さんと一緒に今日の「付箋作戦」を試してみてくださいね。
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