『毒親』という言葉の一人歩きに注意!本当の意味と誤解を解く

「毒親」ブームの背景~なぜ今この言葉が注目されるのか

最近、SNSや書籍で「毒親」という言葉を目にする機会が増えました。カウンセリングの現場でも、「私の親は毒親だったのでしょうか?」というご相談を受けることが多くなっています。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。なぜ今、この言葉がこれほど注目されているのでしょうか?

一つは、SNSの普及により、家庭内の問題を他者と比較しやすくなったことです。「うちの親はこうだった」「それって毒親じゃない?」といった情報交換が活発になり、自分の親子関係を客観視する機会が増えました。

また、価値観の多様化により、従来の「親の言うことを聞くのが当然」という考え方に疑問を持つ人が増えたことも背景にあります。これ自体は健全な変化ですが、一方で「毒親」という強い言葉が独り歩きしてしまう危険性もはらんでいます。


本来の「毒親」の定義とは?専門家の見解から学ぶ

「毒親」という概念は、アメリカの心理療法士スーザン・フォワードが1989年に著書で提唱したものです。原題は"Toxic Parents"で、「子どもに深刻な心理的ダメージを与え続ける親」を指します。

専門的には、以下のような特徴を持つ親を指します:

・子どもの人格や尊厳を否定し続ける

・身体的、精神的、性的な虐待を行う

・子どもを支配・操作の道具として扱う

・子どもの感情や意見を全く認めない

・極度のネグレクト(育児放棄)を行う

つまり、単に「厳しい」「過保護」「理想と違う」といった理由だけでは「毒親」とは言えないのです。


よくある誤解:「厳しい親=毒親」ではない

カウンセリングを通じて感じるのは、「厳しい親=毒親」という誤解が広がっていることです。

例えば、「宿題をやるまでゲームは禁止」「門限を守らないと外出禁止」といったルールを設ける親を「毒親」と呼ぶケースがありますが、これは誤解です。

厳しさには「愛情に基づく厳しさ」と「支配のための厳しさ」があります。

愛情に基づく厳しさの特徴

・子どもの成長を願っている

・理由を説明してくれる

・子どもの意見も聞いてくれる

・失敗したときはフォローがある

・普段は温かい関わりがある

・支配のための厳しさの特徴:

・親の都合や体面を優先している

・理由を説明しない(「親の言うことは絶対」)

・子どもの意見は一切聞かない

・失敗したときは攻撃される

・温かい関わりがほとんどない

同じ「厳しい」でも、その背景にある動機と方法が大きく違うのです。


「愛情の表現方法が間違っている親」と「本当に問題のある親」の違い

私たちが注意すべきは、「愛情はあるが表現方法が間違っている親」と「本当に問題のある親」を混同しないことです。

愛情の表現が下手な親の特徴

・子どもを愛しているが、その伝え方が分からない

・自分の親からの愛情表現を知らないため、模範がない

・仕事や生活のストレスで余裕がなく、きつい言い方になってしまう

・子育ての知識不足で、適切な関わり方が分からない

・指摘されると反省し、改善しようとする

・本当に問題のある親の特徴:

・子どもへの愛情が感じられない

・自分の行動を正当化し、絶対に謝らない

・子どもの人格を否定する言動を繰り返す

・改善の意欲が全くない

・子どもを支配や操作の道具として扱う

前者の場合、適切なサポートがあれば親子関係の改善は十分可能です。後者の場合は、専門的な介入が必要になることもあります。


子どもの成長段階で変わる「適切な親の関わり方」

また、忘れてはいけないのが、子どもの成長に応じて「適切な親の関わり方」も変化するということです。

幼児期には保護と指導が中心ですが、思春期になれば自立を支援する関わりが必要です。10歳の子に必要な関わり方を17歳の子に続けていれば、それは「過干渉」になってしまいます。

しかし、多くの親は「今までこの方法でうまくいっていたのに...」と戸惑います。これは決して「毒親」だからではなく、子育ての自然な困難の一つです。

大切なのは、「毒親かどうか」のレッテル貼りをすることではなく、「今の親子関係をより良くするにはどうしたらいいか」を考えることです。

明日は、親が無意識にやってしまいがちな「毒親的行動」について詳しく見ていきます。これを知ることで、早めの軌道修正が可能になります。

今日は、お子さんとの関わりを振り返りながら、「厳しさの背景にあるのは愛情だろうか?支配欲だろうか?」と自問してみてください。

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