なぜ『やる気はあるのに進まない』のか?中3の9月に起こる3つの心理的な壁
壁その1:「時間がない」という焦りが生む悪循環
「もう9月...時間がない!」
この焦りこそが、実は最大の敵です。
多くの中3生が9月に陥るのが、「焦り→計画倒れ→自己嫌悪→やる気低下」という悪循環です。
焦りの心理メカニズム:
・残り時間を意識しすぎて、1日にやろうとする量が現実的でなくなる
・計画通りに進まないと「自分はダメだ」と思い込む
・完璧主義になり、少しでもつまずくと全てを投げ出したくなる
実際の例:
Dくん(中3)の場合、9月から「毎日5時間勉強する」と決めました。しかし、学校生活、部活、習い事を考えると現実的ではありません。3日で挫折し、「やっぱり自分には無理だ」と落ち込んでしまいました。
この悪循環から抜け出すには、「時間の量」ではなく「学習の質」に意識を向けることが重要です。1時間の集中した学習は、3時間のダラダラした学習よりもはるかに効果的なのです。
壁その2:「何から手をつけたらいいかわからない」情報過多の罠
現代の中3生は、情報過多の時代を生きています。
インターネットで検索すれば:
「偏差値を10上げる方法」
「3ヶ月で合格する勉強法」
「絶対に合格する参考書ランキング」
こうした情報があふれています。でも、情報が多すぎると、かえって何をしたらいいかわからなくなってしまうのです。
情報過多が生む問題:
あれもこれもやらなければという気持ちになる
「この方法で本当にいいのか」という不安が生まれる
結果的に、何も決められず行動できなくなる
実際の塾での会話:
生徒:「先生、YouTubeで見た勉強法を試してみたんですが、効果が感じられません」
講師:「どんな方法?」
生徒:「英単語を1日100個覚える方法です」
講師:「君の現在の英語力だと、まずは1日20個から始めた方がいいね」
大切なのは、「自分に合った」学習方法を見つけることです。他の人に効果があった方法が、必ずしも自分に合うとは限りません。
壁その3:「志望校のレベルに追いつかない」という不安の正体
9月になると、模試の結果や志望校の過去問を見て、現実との差に愕然とすることがあります。
「こんなに難しい問題、解けるようになるのかな...」
「みんなはもっとできるのに、自分だけ...」
この不安の正体は何でしょうか?
不安の正体1:比較対象が間違っている
志望校合格者の「入試当日の実力」と、今の自分を比較していませんか?合格者だって、9月の時点では今のあなたと同じような状況だったかもしれません。
不安の正体2:成長の可能性を無視している
中学3年生の学習能力の伸びは想像以上です。特に、明確な目標ができた時の集中力と吸収力は驚くべきものがあります。
不安の正体3:「完璧」を求めすぎている
入試は満点を取る必要はありません。合格点を取れば良いのです。すべての問題ができるようになる必要はないのです。
焦りと不安が学習効率を下げるメカニズム
心理学的に、焦りや不安は学習効率を大幅に下げることがわかっています。
脳科学的な根拠:
不安状態では、記憶を司る海馬の働きが低下する
焦りは集中力を分散させ、深い理解を妨げる
ストレスホルモンが分泌され、学習効果が半減する
実際の例:
Eさん(中3)は、9月の模試結果に焦り、毎日「勉強しなきゃ、勉強しなきゃ」と思いながら机に向かっていました。しかし、集中できず、同じ問題を何度も解き直している状態でした。
講師がアドバイスしたのは、「まず深呼吸をして、今日やることを3つだけ決めよう」ということでした。焦りを手放し、小さな目標から始めることで、徐々に学習リズムを取り戻すことができました。
「完璧主義」から「戦略的学習」への発想転換
この3つの壁を乗り越えるカギは、「完璧主義」から「戦略的学習」への発想転換です。
完璧主義の特徴:
・すべてを完璧にやろうとする
・少しでもつまずくと全てが無駄に感じる
・他人と比較して落ち込む
戦略的学習の特徴:
・優先順位を明確にする
・小さな進歩を積み重ねる
・自分のペースを大切にする
明日は、この「戦略的学習」の具体的な方法について詳しくお話しします。
今日は、お子さんが焦りや不安を感じているようなら、「大丈夫、みんな同じような気持ちを経験するよ。一緒に乗り越えていこう」と声をかけてあげてください。
不安を感じるのは、それだけ真剣に受験と向き合っている証拠です。その真剣さを、正しい方向に向けていくことが大切なのです。
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