これはNG!子どものやる気を奪う『避けたい声掛け』ワースト5
【避けたい声掛け①】「俺の時代は...」比較と説教が逆効果な理由
「俺が子どもの頃は、もっと勉強したぞ」
「俺の時代は、スマホなんてなかったから集中できた」
「今の子は恵まれすぎてる。俺たちはもっと苦労した」
こんな言葉、つい出てしまいますよね。でも、これが最も子どもの心を閉ざす声掛けの一つなのです。
なぜ逆効果なのか
時代背景が全く違う
お父さんの時代と今では、教育システム、受験制度、社会状況が大きく異なります。比較すること自体に意味がありません。
子どもは「否定された」と感じる
「今のお前はダメだ」というメッセージとして受け取られてしまいます。
会話が途切れる
子どもは「どうせわかってもらえない」と感じ、話すことをやめてしまいます。
実際にあった例
中学2年生の男の子が、こう打ち明けてくれました。
「お父さんに『お父さんの時代は...』って言われると、もう何も話したくなくなる。時代が違うのに、比較されても困る」
別の高校1年生の女の子は、
「私は私。お父さんはお父さん。比べないでほしい」
子どもたちは、自分の人生を自分で歩みたいのです。
どう言い換えるか
❌ 「俺の時代は、もっと勉強したぞ」
⭕ 「お父さんも勉強で苦労した時期があったな。何か困ってることある?」
❌ 「今の子は恵まれすぎてる」
⭕ 「今は選択肢がたくさんあって、逆に迷うこともあるよな」
❌ 「俺の頃はスマホなんてなかった」
⭕ 「スマホがあると便利な反面、集中しにくいこともあるよね」
自分の経験を語るときは、「比較」ではなく「共感」の文脈で伝えることが大切です。
【避けたい声掛け②】「男なんだから」「しっかりしろ」プレッシャー言葉の危険性
「男なんだから、弱音を吐くな」
「長男なんだから、しっかりしろ」
「もう中学生なんだから、一人で何とかしろ」
これらの言葉には、お父さんの期待や願いが込められています。でも、子どもにとっては重いプレッシャーになることがあります。
なぜ危険なのか
感情を押し殺すようになる
「弱音を吐いてはいけない」と思い込み、困っていても誰にも相談できなくなります。
「ありのままの自分」を否定される
「今の自分ではダメなんだ」という自己否定につながります。
性別や年齢で決めつけられる
個性や個人差を無視して、型にはめられていると感じます。
ジェンダーバイアスへの配慮
特に「男なんだから」「女の子なんだから」という性別による決めつけは、現代では避けるべき声掛けです。
男の子が泣いてもいい。
女の子が理系に進んでもいい。
男の子が弱音を吐いてもいい。
女の子がリーダーシップを取ってもいい。
性別に関係なく、一人ひとりの個性を尊重することが大切です。
実際の影響
ある高校生の男の子が、不登校になりました。理由を聞くと、
「ずっと『男なんだから、しっかりしろ』って言われ続けてきた。でも、しんどい時もある。それを誰にも言えなくて、限界だった」
お父さんは「励ましのつもり」だったそうですが、子どもには重すぎる期待として伝わっていたのです。
どう言い換えるか
❌ 「男なんだから、弱音を吐くな」
⭕ 「辛い時は辛いって言っていいんだよ。お父さんも力になるから」
❌ 「もう中学生なんだから、一人で何とかしろ」
⭕ 「成長してきたね。でも困った時は頼ってくれていいからな」
❌ 「長男なんだから、しっかりしろ」
⭕ 「お前はお前のペースでいいんだよ。お父さんは応援してる」
期待を伝えることは大切ですが、それが子どもを追い詰めないよう、「逃げ道」も用意しておくことが重要です。
【避けたい声掛け③】「お母さんに任せてる」無関心と受け取られる一言
「勉強のことはお母さんに聞いて」
「お母さんに任せてるから」
「そういうのはお母さんの方が詳しいから」
忙しいお父さんが、つい言ってしまう言葉です。でも、この言葉が子どもに与える影響は、お父さんが思っているよりずっと大きいのです。
子どもが受け取るメッセージ
「お父さんは自分のことに興味がないんだ」
「お父さんは忙しくて、自分のことを見てくれない」
「お父さんにとって、自分は大切じゃないんだ」
無関心と受け取られてしまうのです。
ある女子高生の言葉
面談でこんなことを言われたことがあります。
「お母さんは色々言ってくるから、正直うるさいなって思う時もある。でも、お父さんは何も言わない。それがもっと寂しい」
子どもは、お父さんにも関心を持ってほしいのです。
お母さんへの影響
この言葉は、お母さんにも大きな負担をかけています。
「全部私が背負わなきゃいけないの?」
「協力してほしいのに...」
子育てをお母さん一人に押し付けることで、家庭内の不協和音が生まれることもあります。
どう言い換えるか
❌ 「勉強のことはお母さんに聞いて」
⭕ 「お母さんの方が詳しいから、まずお母さんに聞いてみて。お父さんにも後で教えてくれる?」
❌ 「お母さんに任せてるから」
⭕ 「お母さんと一緒に考えよう。お父さんも一緒に考えるから」
❌ 「そういうのはお母さんの方が詳しい」
⭕ 「お母さんの方が詳しいけど、お父さんも一緒に考えたいな」
できることから始める
完璧に関わる必要はありません。
・宿題の内容を聞いてみる
・テストの結果を「お母さん経由」ではなく、子どもから直接聞く
・学校の行事には可能な限り参加する
・成績表を一緒に見る
小さなことでも、「お父さんも見てくれている」と伝わることが大切です。
【避けたい声掛け④】「結果が全て」成果主義が子どもの心を閉ざす
「で、何点だったんだ?」
「結果を出せ」
「頑張ったかどうかじゃない、結果が全てだ」
ビジネスの世界では、結果が重視されることも確かです。でも、その価値観をそのまま子どもに当てはめると、大きな弊害が生まれます。
【成果主義の3つの問題点】
1. プロセスを軽視してしまう
テストで100点を取るために、理解せずに丸暗記する。
成績を上げるために、カンニングをする。
結果を出すために、不正をする。
「結果が全て」と言われると、子どもは「どんな手段を使ってもいいから結果を出せ」と解釈することがあります。
2. 失敗を恐れて挑戦しなくなる
「失敗したら認めてもらえない」
「良い結果が出ないなら、やらない方がマシ」
こう考えるようになり、新しいことに挑戦する意欲を失います。
3. 自己肯定感が結果に左右される
「良い結果=自分には価値がある」
「悪い結果=自分はダメな人間だ」
結果で自分の価値を測るようになり、精神的に不安定になります。
実際にあったケース
ある高校1年生の男の子は、テストでカンニングをして、停学処分を受けました。
理由を聞くと、
「お父さんに『結果が全てだ』って言われてた。成績が下がるのが怖くて、カンニングするしかなかった」
お父さんは、息子を励ますつもりで言った言葉でした。でも、子どもには「結果を出せないと認めてもらえない」というプレッシャーとして伝わっていたのです。
子どもに伝えるべき本当のメッセージ
結果ではなく、「プロセス」「努力」「挑戦」を評価することが大切です。
⭕ 「結果がどうであれ、最後まで諦めなかったことが素晴らしい」
⭕ 「この経験から、何を学んだ?」
⭕ 「失敗は成功のもと。次はどう工夫する?」
どう言い換えるか
❌ 「で、何点だったんだ?」
⭕ 「テストどうだった?手応えはあった?」
❌ 「結果を出せ」
⭕ 「自分が納得できる結果を目指そう」
❌ 「結果が全てだ」
⭕ 「結果も大事だけど、そこに至るまでの努力が一番大事だよ」
ビジネスでは結果が重視されることもありますが、子どもの成長には、失敗する自由、挑戦する勇気、プロセスを楽しむ余裕が必要なのです。
【避けたい声掛け⑤】「勉強しろ」命令形より効果的な伝え方とは
「勉強しろ!」
「いつまでゲームしてるんだ!勉強しろ!」
最もよく使われる言葉でありながら、最も効果がない言葉の一つです。
なぜ効果がないのか
◎反発心を生む
命令されると、人は反発したくなるものです。特に思春期の子どもは、自分の意思で動きたいと思っています。
◎具体性がない
「勉強しろ」と言われても、何を、どのように、いつまでやればいいのかわかりません。
◎やらされている感が強くなる
自分の意思ではなく、親に言われたからやる。これでは主体性が育ちません。
25年間で見た現実
「『勉強しろ』と言われて勉強するようになった子」を、私は一人も見たことがありません。
逆に、「言われれば言われるほど、やる気をなくした」という子は、数え切れないほどいます。
効果的な伝え方のバリエーション
パターン1:質問形式
❌ 「勉強しろ!」
⭕ 「今日はどんな勉強をする予定?」
パターン2:選択肢を与える
❌ 「今すぐ勉強しろ!」
⭕ 「夕飯の前にやる?後にやる?」
パターン3:環境を整える提案
❌ 「勉強しろ!」
⭕ 「勉強しやすいように、部屋を片付けようか?」
パターン4:一緒に考える
❌ 「もっと勉強しろ!」
⭕ 「テストまであと1週間だけど、どんな計画?」
パターン5:目標を確認する
❌ 「勉強しろ!」
⭕ 「今回のテストは、自分で何点目標にしてるの?」
「見守る」という関わり方
実は最も効果的なのは、「勉強しろ」と言わずに、子どもが自分から勉強するのを待つことです。
でも、ただ待つだけではなく、以下のような環境づくりが大切です。
・勉強しやすい環境を整える
・子どもが勉強している姿を認める
・困っている時に助ける
・頑張りを見守る
「勉強しろ」を言わない家庭の成功例
ある家庭では、お父さんが一切「勉強しろ」と言わなくなりました。
代わりに、子どもが勉強している時に、
「集中してるね」
「コツコツやってるな」
と認める声掛けをしました。
すると、子どもは「見てくれている」「認められている」と感じ、自分から進んで勉強するようになったそうです。
NGワードを言ってしまった時のリカバリー方法
完璧な親はいません。つい、NGワードを言ってしまうこともあります。大切なのは、その後のフォローです。
リカバリーの3ステップ
ステップ1:素直に謝る
「さっきは言い過ぎた。ごめん」
お父さんが素直に謝る姿は、子どもにとって良いモデルになります。
ステップ2:本当の気持ちを伝え直す
「お父さんは、お前のことが心配で、つい強く言っちゃったんだ。でも、お前を信頼してるよ」
怒りの奥にある「愛情」を、改めて伝えます。
ステップ3:これからどうするか相談する
「これからは、もっと話し合いながらやっていこう。お前はどう思う?」
対等な関係で、一緒に解決策を考える姿勢を示します。
やってはいけないリカバリー
❌ 「でもお前も悪いんだぞ」(謝罪の取り消し)
❌ 「親だから仕方ないだろ」(開き直り)
❌ 何も言わず、なかったことにする(無視)
素直に謝り、正直な気持ちを伝えることが、親子の信頼関係を強くします。
明日は、「勉強しなさい」を言わずに学習習慣をつける方法を、具体的にお伝えします。今日学んだ「避けたい声掛け」を意識しながら、お子さんと接してみてください。NGワードを使ってしまったら、素直に謝る。それだけで、関係は必ず良くなります。
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