学校との連絡をどうする? - 関係を保ちながら子どもを守る方法
担任の先生への最初の連絡
子どもが学校に行けなくなった時、最初に悩むのが学校への連絡です。
「どう説明すればいいのだろう」「先生はどう思うだろう」「子どもの評価に影響するのではないか」
様々な不安が頭をよぎります。でも、学校との連絡は避けて通れません。そして、最初の連絡の仕方が、その後の関係性を大きく左右します。
休み始めの時期の伝え方
初日は「体調不良」「腹痛」などの理由で構いません。実際、心の不調は体にも表れます。嘘をついているわけではないのです。
数日続いたときに、もう少し詳しく伝えることになります。このとき大切なのは、正直に状況を伝えることです。
電話での連絡例:
「いつもお世話になっております。○○の母です。実は、息子が数日前から学校に行くことを強く嫌がるようになりまして、今朝も玄関を出ることができませんでした。本人も理由をうまく説明できない様子で、親としても戸惑っております。しばらくお休みをいただくことになるかもしれません」
ポイントは以下の通りです:
・事実を淡々と伝える
・子どもを責める表現を使わない
・親自身も状況を理解しようとしていることを伝える
・学校との協力関係を築きたい姿勢を示す
・子どもの了解を得ることの重要性
学校に連絡する前に、必ず子どもに確認しましょう。
「学校に今の状況を伝えようと思うんだけど、どう伝えたらいい?」
「先生に知られたくないことはある?」
子どもの意見を聞かずに親が勝手に動くと、信頼関係が崩れます。「お母さんは自分の味方じゃない」と感じさせてしまうのです。
子どもが「何も言わないで」と言った場合は、その気持ちを尊重しながらも、最低限の連絡は必要だと説明します。
「わかった。詳しいことは言わないよ。でも、学校には『今は休ませてください』ということだけは伝える必要があるの。それはいい?」
このように、子どもとの対話を重ねながら進めていくことが大切です。
定期的なコミュニケーションのコツ
欠席が続くと、学校との連絡をどうするか悩みます。毎日連絡すべきか、週に一度か、それとも月に一度か。
連絡頻度の目安
一般的には、以下のような頻度が適切です:
欠席が始まった最初の1週間:毎日連絡
2週目以降:週に1〜2回の連絡
1ヶ月以上続く場合:週1回+状況に変化があったとき
ただし、これは目安です。学校側から「毎日連絡してほしい」と言われることもあれば、「週1回で構いません」と言われることもあります。担任の先生と相談して決めましょう。
連絡方法は、電話だけでなく連絡帳や電子メール、学校によっては専用アプリなども活用できます。毎回長い電話をする必要はありません。「今週も引き続き休ませていただきます」という短い連絡で十分な場合もあります。
プリントや配布物の受け取り方
学校からのプリントや配布物をどう受け取るかも検討が必要です。
選択肢としては:
保護者が学校に取りに行く
きょうだいに持ち帰ってもらう
先生に郵送してもらう
友達に届けてもらう
しばらく受け取らない
子どもの状態と保護者の状況に応じて決めましょう。ただし、進路に関わる重要な書類(進路希望調査、三者面談の案内など)は必ず受け取るようにしてください。
プリントを子どもに見せるかどうかも、子どもと相談して決めます。「学校のプリント見る?」と聞いて、「見たくない」と言われたら無理に見せる必要はありません。ただし、親は内容を把握しておくことが大切です。
テストや行事の扱い方
定期テストや学校行事をどうするかは、個別に判断が必要です。
テストについて:
学校で受けられる場合は受ける選択肢を子どもに提示
別室受験が可能か学校に相談
受けない選択も尊重する
テストを受けなくても進級・卒業できるか確認
学校行事について:
修学旅行、運動会、文化祭などへの参加を強制しない
「参加したい」と言ったら全力でサポート
「当日になってやっぱり無理」も受け入れる準備をする
実際、修学旅行だけは参加できた、運動会の最後だけ見に行けた、という子もいます。小さな一歩を大切にしましょう。
子どもに伝える情報・伝えない情報の判断
学校との連絡内容を、すべて子どもに伝えるべきでしょうか。答えは「ケースバイケース」です。
学校からの連絡をどこまで共有するか
判断のポイント:
ポジティブな内容(先生や友達からの応援メッセージなど)→積極的に共有
中立的な内容(プリントの内容、連絡事項など)→子どもに確認してから共有
プレッシャーになる内容(「早く復帰を」といったメッセージなど)→慎重に判断
例えば、担任の先生が「みんなが待っています」というメッセージを伝えてきた場合、これを子どもにそのまま伝えると、プレッシャーに感じる子もいます。
代わりに「先生がよろしくって言ってたよ」という軽いトーンで伝える、あるいは、今は伝えずにタイミングを見計らう、といった配慮が必要です。
子どもの気持ちを確認しながら決める
「先生からこういう連絡があったんだけど、聞きたい?」
このように、まず子どもに選択権を与えます。「聞きたい」と言えば伝える。「聞きたくない」と言えば伝えない。シンプルです。
大切なのは、親が勝手に判断せず、子どもの意思を尊重することです。
「知りたくない」という権利を尊重する
学校のことを全く聞きたくない時期もあります。それは子どもの心を守るための防衛反応です。
「知りたくない」という意思表示は、実は健全なことです。自分の心を守る方法を知っている証拠だからです。
その時期は、学校の話を一切しない。それも一つの選択です。
家庭訪問や電話への対応方法
担任の先生や管理職が家庭訪問を提案することがあります。あるいは、直接子どもに電話をかけてくることも。これらにどう対応すればいいのでしょうか。
事前に子どもと相談する
学校から家庭訪問の提案があったら、すぐに返事をせず、まず子どもに相談します。
「先生が家に来たいって言ってるんだけど、どう思う?」
子どもの反応によって対応を決めます。
会いたい → 日時を調整して受け入れる
会いたくない → 学校にその旨を伝える
わからない → もう少し時間をもらう
子どもが会いたくない場合の断り方
「お気遣いありがとうございます。ただ、本人が今はまだ先生とお会いする気持ちになれないようです。もう少し時間をいただけますでしょうか」
このように、丁寧に、しかし明確に伝えます。
先生によっては「顔だけでも」「玄関先でいいので」と食い下がることもありますが、子どもの意思を最優先にしてください。無理に会わせることで、状況が悪化することもあります。
ただし、完全に拒絶するのではなく、「時期が来たらこちらから連絡します」と伝えることで、関係を保つことができます。
先生との信頼関係を保つ工夫
家庭訪問を断ったとしても、先生との信頼関係は保ちたいものです。
そのための工夫:
定期的に学校の様子を電話で聞く
学校の取り組みに感謝の言葉を伝える
子どもの小さな変化(「今日は少し元気でした」など)を共有する
学校便りや学級通信を読んで、コメントを伝える
先生も心配しています。その気持ちに応えながら、子どもを守る。このバランスが大切です。
学校との関係が難しい場合
すべての学校、すべての先生が理解的とは限りません。残念ながら、不登校に対する理解が不足している場合もあります。
理解が得られない時の対処法
担任の先生と話が通じない場合:
学年主任や教頭先生に相談する
スクールカウンセラーに間に入ってもらう
教育委員会の相談窓口に連絡する
大切なのは、一人で抱え込まないことです。
また、先生の言葉に傷つくこともあるかもしれません。「親の甘やかしでは?」「もっと厳しくしては?」といった言葉を受けることもあります。
そんな時は、「この先生には理解できないのだ」と割り切ることも必要です。すべての人に理解してもらえるわけではありません。子どもを守ることが最優先です。
教育委員会や相談機関の活用
学校との関係がどうしてもうまくいかない場合、外部機関を活用しましょう。
教育委員会の相談窓口
教育相談センター
児童相談所
弁護士(いじめが関わる場合)
これらの機関は、学校と家庭の間に入って調整してくれることもあります。
転校・転籍も選択肢の一つ
学校との関係が修復不可能な場合、あるいは学校環境そのものが子どもに合っていない場合、転校や通信制高校への転籍も視野に入れましょう。
環境を変えることで、驚くほど回復する子もいます。「今の学校」にこだわる必要はありません。子どもに合う環境を見つけることが大切です。
私たちの教室でも、通信制高校に転籍した後、生き生きと学習に取り組むようになった生徒をたくさん見てきました。選択肢は一つではありません。
明日は最終回、ゲームとの向き合い方についてお話しします。今日は、学校との連絡を「子どもを守りながら関係を保つ」というバランスで考えてみてください。
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